KDDIは2002年10月1日に、東京都新宿区と文京区の一部で光ファイバーによる一般家庭向けの高速ネット接続サービス(FTTH)を商用化する。今年3月から実施している実験サービスを商用化するもので、100Mビット/秒のネット接続に加えて、IP電話サービスも提供する。料金は月額6000円程度を予定。ただし、現行方式では採算がとれないため、当面は実験に参加した450世帯に限定したサービスとする。

 KDDIのFTTHの実験サービスは、専用のSTB(セット・トップ・ボックス)を配布し、パソコンだけでなくテレビでもサービスを利用できるようにしている。また、映画や音楽、地域情報の配信などのコンテンツサービスも手がけている。商用サービスは、この実験サービスを有料に切り換えるもの。パソコンとテレビを利用したネット接続サービスとIP電話サービスは残すが、コンテンツサービスを続行するかは未定。また、新たなユーザーは募集しない方針だ。

 この点についてKDDIブロードバンドビジネス開発部の田中寛課長は「現在のサービスは一戸建てを対象としており、電柱を借りて自前で回線を引いている。このやり方では、ユーザーを増やしても採算が取れない」と説明する。

 FTTHを巡っては、既にNTT地域会社や電力会社、有線ブロードネットワークスなどがサービスを開始している。KDDIはユーザー数を制限しない形でのFTTHの本格的な商用サービスは、2003年第1四半期(4-6月)に開始する計画だ。「現在のサービスの方式とは異なり、まずは主に集合住宅を狙っていく。回線も自前のものだけではなく、NTTから借りるなどしてコストを下げる」(田中課長)としている。

(河野 修己=日経ネットビジネス)