大量の電子メールを送信する際に、企業から“切手代”を徴収する「オンライン切手」制度が、韓国最大のポータルサイトで始まった。メールの送信者側にコスト意識を持たせて、社会問題化している迷惑メールの送信を抑止するのが狙いだ。しかしネット業界は、受信者の許可を得たオプトインメールと迷惑メールを一律して規制することに猛反発しており、両者の議論は平行線をたどっている。
オンライン切手制度を導入したのは、韓国最大のポータルサイトを運営するダウム・コミュニケーション社。対象となるのは、同社のポータルサイト会員向けの無料Webメールサービス「ハンメール」に送られるメールである。
仕組みはこうだ。企業などがハンメールのメールアドレスに対して1日当たり1000通以上のメールを送信する場合、ダウム社はその企業に実名とIPアドレスの登録を義務付けた。加えて、1通につき10ウォンを“切手代”として徴収する。
ただし、受信者の許可を得たオプトインメールに課金されることがないように、Webメールを開封した際に受け手にとって意味がある「情報」とスパムメールを区別するボタンが表示される。「情報」と判断した利用者が70%を超えると、支払いが免除される仕組みだ。
ネット企業からは、オプトインメールを迷惑メールと同列に扱うことに対して、批判の声が高まっている。オンライン切手に反対する約360社の企業が集まり、「eメール自由の会」を結成。参加企業はダウムのポータルサイトへの広告出稿を停止したり、ダウムの会員をサービスから排除するなどの強い反対運動を展開している。
今のところ、ユーザーにとっては、ネット上のサービスを受けるために別のメールアドレスを取得する必要があるなど、面倒が増える結果となっている。ユーザー不在のまま、議論は混迷を深めている。
(詳細は本誌5月10日号のスペシャルレポートを参照)