Webブラウザーで読める電子ブックのプラットフォーム「TrueEbook」が、7月に日本に本格上陸する。システム開発を手がけた韓国デジトミ社のチョン・ジョンヒョンCEOに、日本での戦略を聞いた。

――電子ブックに関しては様々な規格があるが、デジトミ社の規格の特徴は何か。

 コンテンツを画像データ(JPEG)で表示するため、Webブラウザーさえあれば機種を問わずにコンテンツを閲覧できることが最大の特徴だ。プラグインや専用ビューワーなどのソフトウエアや、外国語を表示する際のフォントは必要ない。1ページ当たりの画像ファイルの容量は、約250~400キロバイトになる。これを10個程度に分割して、少しずつダウンロードするので軽快に操作できる。

 操作は、ブラウザーに表示されるボタンをクリックするだけ。拡大と縮小がワンクリックで可能で、マウスの動きに合わせて画面も自動的にスクロールする。ページを切り替える際には、紙のページをめくるようなアニメーションを表示し、紙のカタログや雑誌の感覚でコンテンツを読めるようにした。広告の画像やテキストを、Webサイトとリンクさせることも可能だ。

――現在、TrueEbookはどのような使われ方をしているのですか。

 現在は、主にショッピングのWebカタログに使われている。商品をクリックするだけで購入できるような使い方ができる。著作権保護の機能が盛り込まれているので、雑誌や書籍などの紙媒体を表示するのにも適している。例えば、認証されたユーザーに限って印刷を許可する、といったことが可能だ。
 
 韓国では、複数の大手Webサイトに導入実績がある。例えばオンライン書店大手の「YES24.com」が、書籍の内容を事前に“立ち読み”できるサービスにTrueEbookを導入している。通販会社は、紙カタログをTrueEbook形式にデータ化してWebサイトに掲載し、ネット通販に利用している。

――今後、どのようなビジネスを想定していますか。事業展開を教えて下さい。

 韓国では雑誌をTrueEbook形式でデジタル化し、有料で配信するポータルサイトを立ち上げる予定だ。個人向けとして、記念写真を電子アルバム化するサービスも計画している。

 日本では2002年7月ごろからサービスを展開する。日本のユーザーにもぜひ、利用してもらいたい。そして、ダウンロードに時間がかかる既存の電子ブックと比べてほしい。

(聞き手は瀧本 大輔=日経ネットビジネス)