東京地方裁判所は4月26日に、ドメイン名「goo.co.jp」の使用権を巡り、ポップコーン(岡山県倉敷市)がNTT-X(東京都千代田区)を相手に争っていた裁判で、原告ポップコーンの訴えを棄却した。

 「goo.co.jp」を巡っては2001年2月5日、ドメイン名紛争処理機関の日本知的財産仲裁センター(旧工業所有権仲裁センター)が、ポップコーンに対してドメイン名をNTT-Xへ移転すること命じる裁定を下していた。しかしポップコーンはこれを不服として、東京地裁へ出訴していた。今回の東京地裁の判決は、仲裁センターの裁定を追認した格好だ。

 NTT-Xは、1997年3月からポータルサイトgoo(goo.ne.jp)を運営している。しかしある時期から、同サイトにアクセスしようとするユーザーがURLの入力を誤り、ポップコーンが運営するWebサイトへアクセスすることが問題になっていた。ポップコーンは自社が運営するWebサイト(goo.co.jp)からアダルトサイトなどへ転送するサービスを提供していた。今回の判決では、こうしたドメイン名の使用はgoo.ne.jpのユーザーの誤りに乗じた行為であり、不正の目的での使用に当たるとした。

 ポップコーン側の代理人である登坂真人弁護士は「goo.co.jpを先に登録したのはポップコーンだ。NTT-Xはgoo.co.jpが登録済みなのを知っていて、ドメイン名と商標の登録をしたはず。さかのぼって使用権を否定されるのは納得がいかない。控訴も検討している」と話す。ポップコーンがgoo.co.jpを登録したのは1996年8月16日。NTT-Xは、goo.ne.jpを1997年2月12日に登録したほか、1997年1月28日に「GOO」を商標出願、1999年1月8日に商標登録している。一方、NTT-Xは「裁判によって、これまで常識だった先願主義が万能ではないことが法的に示された」(広報室)とコメントした。

 この判決によって、NTT-Xは現在使用している「nttx.co.jp」と「goo.co.jp」の2つのドメインを所有する可能性が出てきた。ドメイン名の登録規則である「属性型(組織種別型)・地域型 JP ドメイン名登録等に関する規則」では、通常、「co.jp」ドメインについては、1組織1ドメインが原則。ただし紛争処理機関が移転の裁定を出した場合は、複数のドメイン名を登録し、そのうち1ドメイン名だけを実際に使用できるとしている。

(太田 憲一郎=日経ネットビジネス)