4月25日に、国会で1年以上棚ざらし状態にあった個人情報保護法案がついに審議入りした。しかし今国会で成立したとしても、事業者義務規定の施行はタイムリミットの2003年夏に間に合わない可能性が濃厚になってきた。

 同法は、2003年夏に稼動する「住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)」に合わせて施行する予定だった。そのため、事業者側に約2年の準備期間が必要と判断して、政府は2001年3月に個人情報保護法案を国会に提出した。しかし野党やメディアからの猛烈な反発を受けて、実質的な審議はストップしていた。

 同法では法案成立後、政府が個人情報保護に関する基本方針を作成することを定めている。この基本方針は、国民生活審議会の審議が必要で、これにも3カ月程度かかると考えられる。事業者はこの基本方針に従って準備することになるので、準備期間は実質1年を切り、対応できない企業が続出する可能性が高い。

 そのため2003年夏に施行された場合、事業者は早急に対応をする必要があり、特に大量の個人情報を扱うネットビジネス事業者は大きな負担を強いられることになる。行政関係者の中でも「住基ネットの稼動に間に合わせるのは、もはや無理」と指摘する声も出ている。

(太田 憲一郎=日経ネットビジネス)