日立製作所とスウェーデンのアノト アーベー社は、電子ペンを使った電子申請システム「EPLS」を共同で開発する。電子政府、電子自治体向けのシステムで、提供開始は、2003年第2四半期になる予定。

 EPLSは、アノト社が開発した電子ペンの技術を利用して、住民票交付や転入出届などの申請手続き業務をシステム化したもの。これまで、住民が手書きで提出していた申請書を職員がパソコンに再入力していた。しかしEPLSを導入することで、再入力の手間が省け、窓口での待ち時間も短縮できる。

 アノト社の電子ペン「アノト・ペン」は、細かい座標が印刷された専用の「アノトペーパー」とセットで利用する。アノト・ペンの先端には、ボールペンのペン先と小型デジタルカメラが内臓されている。このデジタルカメラが、紙に印字された座標を読み取り、筆跡をデータ化する。

 また、アノト・ペンは短距離無線通信規格ブルートゥースに対応しており、同規格に対応したパソコンなどを通じてサーバーに筆跡データを転送する。送られた筆跡データは、サーバーなどの文字認識アプリケーションでテキストデータに変換する。

 日立は、EPLS提供開始後の3年間で、約10億円の売り上げを見込んでいる。アノト社は日立以外に、携帯電話向けコンテンツ開発企業のサイバード、三菱鉛筆などと提携している。

(太田 憲一郎=日経ネットビジネス)