米国のダウ・ケミカルやデュポン、ドイツのバイエルやBASF、三菱化学や三井化学、住友化学工業など、世界の主要大手化学品メーカー22社が2000年8月に設立した米e-マーケットプレイス「エレミカ」が、日本に上陸した。今年2月に三井化学内に事務所を開設し、営業を開始。4月1日には国内向けWebサイトを立ち上げた。三井化学出身の森亜土日本担当COOは、「数多くの化学品の電子商取引サイトが撤退した。しかし、エレミカは世界の大手メーカーが主導し、サプライチェーンを抜本的に効率化する」と意気込む。

 数多くのe-マーケットプレイスがオークションによるスポット取引を主な対象にする一方、エレミカはスポット取引はやらず、継続取引に軸足を置く。売り手と買い手が、生産・会計管理などのために導入しているERP(Enterprise Resource Planning)システムを、エレミカの電子市場を介して相互接続することで受発注を自動化する。

 従来のEDI(電子データ交換)では、企業が1対1でネットワークを構築する必要があったが、エレミカでは参加企業はエレミカの電子市場に接続さえすれば、他の参加企業のERPシステムとの間で受発注が可能だ。エレミカの森日本担当COOは「エレミカに参加すれば、企業は売上高の3%程度のコスト削減が可能になる」とメリットを強調する。

 ただし、エレミカは米化学品BtoBの標準化団体「CIDX」が策定した取引手順に準拠しており、参加企業もエレミカを通じて取引する場合はこれに従う必要がある。日本には独自の商慣習があるほか、「既に約3割がEDI経由で取引しているので、すぐに浸透するとは考えていない」(森日本担当COO)。そのため、大手商社やメーカーを中心に、まずは海外企業との輸出入向けにエレミカの導入を働きかけていく。ちなみに、国内の出資企業3社は、まだエレミカで取引を始めていない。

 参加企業は、初期費用として1万5000ドルのほか、年会費が1000ドル、売り手は1取引ごとに3~25ドルなどを支払う必要がある。エレミカは昨年6月から運用を開始。現在18社が取引に参加し、エレミカは6カ月間で約400万ドルを売り上げている。

(大竹 剛=日経ネットビジネス)