文字情報だけの単純なテキストメールから、静止画や動画を活用したメールへ――。電子メール広告業界で、ブロードバンド(BB)への対応が加速している。メール広告最大手のエルゴ・ブレインズ(大阪市北区)も、新商品を投入してきた。

 エルゴ・ブレインズは4月1日から、動画付きの電子メール広告「メールスポット」の販売を開始した。同社は、受信側の性別、年齢などの属性や、興味のある分野に合わせてメール広告を配信できるオプトインメールの最大手。配信可能先は現在約150万人である。

 メールスポットには、メールの本文はテキストで、本文中のURLをクリックすると画面が立ち上がり動画の再生が始まるテキスト版と、本文がHTML形式で本文中で動画を再生するHTML版の2種類がある。いずれの場合も動画はFlash形式で、再生部分の大きさは160x120ピクセル。再生時間は15秒までに制限している。

 メールスポットの価格は、テキスト版が1通20円から、HTML版が同じく25円から。別途動画作成料金が30万円かかる。ちなみに、従来から販売しているテキストだけのオプトインメールの価格は1通10円からだ。

 昨夏から、電子メール広告各社がHTMLメールや動画付きメールを利用した広告サービスを本格化するなか、エルゴ・ブレインズは慎重な姿勢を崩さなかった。その理由を同社の福岡裕高社長は、「昨年まではウイルスや通信環境の問題などから非テキスト系の電子メールを受け取りたくないと考えるユーザーが少なからずいたが、今年になって十分受け入れてもらえる状況になったから」と説明する。

 2002年12月期のメールスポットの売上高は、同社のメール広告事業全体の3割弱に当たる約5億円を見込んでいる。福岡社長は「将来は7割が非テキストメールに移行するのでは」と見ている。

(河野 修己=日経ネットビジネス)