警察庁生活安全局少年課少年保護対策室を事務局とする「インターネット上の少年に有害なコンテンツ対策研究会」が3月28日に公表した調査結果(※1)によると、中・高校生の12.4%が出会い系サイトの利用経験があることが分かった。対象別に見ると、中学生(男性)は2%、中学生(女性)は7.1%、高校生(男性)は18.4%、高校生(女性)は22%となっており、女子高校生の4分の1近くが出会い系サイトを利用したことがあるという結果が出た。

 この調査は、インターネット上に氾濫する違法・有害コンテンツの現状を明らかにし、少年によるネット犯罪や出会い系サイトによる児童買春などの状況を把握するために行われたもの。調査結果を見ると、携帯電話から出会い系サイトを利用している割合が76.1%で、パソコンの23.9%やPHSの14.9%を大きく上回った。調査では、携帯電話やPHSの使用目的として「見知らぬ人と出会うため掲示板・チャット等を使用」が8.1%、「掲示板・チャット等で知り合った人との通話」が6%という結果も出ている。

 調査報告書では、出会い系サイトに関連した事件を防ぐには「ISP(インターネットサービスプロバイダー)や出会い系サイト開設者による自主的な対策が必要」と述べている。具体的には、(1)サイト開設者が18歳以上であることの年齢確認を行う、(2)ISPがサイト開設者に18歳未満の利用を防止するよう求める、(3)メールで出会い系サイトの宣伝をする場合は広告であることと18歳未満が利用できないものであることを明示する、などの措置を検討する必要があるとしている。

 有害・違法コンテンツについては、「ポルノ画像を見たことがある」が13.9%、「残虐な画像を見たことがある」が7.4%だった。警察庁生活安全局少年保護対策室の木岡保雅室長は、「45%の親が、子供に勝手にパソコンを使わせているのが現状だ。家庭で、有害サイトを見られないようにするフィルタリングソフトを導入することが必要」と話す。さらに事業者に対しても「“子供に安全”を売りにしたシステムやソフトでビジネスができるのではないか」(木岡室長)述べ、ISPをはじめとした事業者や携帯電話キャリアなどの積極的な取り組みに期待している。

 なお、日経ネットビジネス4月10日号では、子供に対する各事業者の取り組みについて特集している。

※ 1 2001年9月~10月、山形県、東京都、大阪府、島根県の中学校及び高等学校各1校の2年生539人と、その保護者465人の計1004人に無記名方式で調査。 

(田中 久美子=日経ネットビジネス)