東京通信ネットワーク(TTNet)からPHS事業を買収する鷹山は4月2日、記者会見を開き、買収の狙いや事業計画を明らかにした。席上、高取直社長は「今回の買収の最大の目的は、無線LANの基地局の“設置権”を手に入れること」と説明した。計画では、首都圏約4000カ所のPHS基地局に、無線LAN基地局を併設することで広域を“面”でカバーする無線LANサービスを今秋から開始する。無線LANをベースにしたインターネット電話も可能にする。一方、TTNetが展開してきたPHSサービス「東京電話アステル」は継続するが、新たな設備投資は行わない方針。

 鷹山はまず、サービス開始に合わせ、法人向けに無線LANを利用できる通信ユニット「マジックメール・ユニット」を開発し、PCカードに内蔵して販売する。2003年秋以降には、インターネット電話を利用できる機能などを内蔵した一体型のマジックメール・ユニットも開発し、このユニットを内蔵したPCカードや電話機を販売していく予定だ。ユニットにはPHS機能も組み込む予定だが、高取社長は「PHS機能を組み込むのは最後の段階となる」としており、実際に製品化されるかどうかは流動的だ。

 鷹山は1990年の設立以来、電話会社向けに次世代携帯電話向けの半導体などの開発を手がけてきた。高取社長は、「次世代携帯電話のサービスが現実のものになるにつれ、当初思い描いていた夢と異なってきた。自ら電話会社になることで、理想のモバイルインターネットフォンの世界を切り開くことにした」と、電話事業参入の狙いを語った。

(大竹 剛=日経ネットビジネス)