電子DMの95%が件名欄に「!広告!」と表示しているが、メール自体は減少する兆しが見られない--。携帯電話向けサービスを提供するベンチャー企業、ネットビレッジ(東京都八王子市)とデジタルストリート(東京都新宿区)の共同調査で、一方的に送りつけられる電子DMに代表される「迷惑メール」のこんな事情が浮き彫りになった。特定商取引法の施行規則が改正され、2月1日から一方的に送信する電子DMの件名欄に「!広告!」と表示することなどが新たに義務づけられた。こうした規制強化でメールの数が減少するのではと期待する向きもあったが、全く効果が上がっていないことが明らかになった。

 この実態調査では、アドレスが「電話番号@docomo.ne.jp」のNTTドコモの携帯電話を1台用意し、送られてきたメールを集計した。迷惑メールの数は、今年2月に2578通に達した。1日平均92通となる。そのうちメールの件名欄に「!広告!」と表記したものが94.4%を占めた。「業者は『!広告!』と表示することで、逆に堂々とメールを送り着けられるようになった」とネットビレッジでは見ている。

 両社は、同様の調査を昨年8月から継続的に行っている。迷惑メールの数は8月には857通だったが、その後急速に増加。12月に2898通、1月には2945通に達した。ネットビレッジがこうした調査を行っているのは、実際に迷惑メールで被害を被っているため。同社は、パソコン用のメールアドレスに送られてきたメールを、携帯電話でサーバーにアクセスして閲覧できるサービス「リモートメール」で、売り上げの大半を稼いでいる。しかし、迷惑メールの増加で、携帯電話のメールに遅延が発生し、解約が相次ぐという被害を受けた。

 迷惑メールは、大きな社会問題になっている。今国会に、経済産業省が迷惑メール対策強化のため、特定商取引法の改正案を提出した。一方与党3党は、特定電子メール送信適正化法を提出すべく準備を進めている。ネットビレッジでは「この二つの法律が成立して、迷惑メールが減少することを望んでいる」と語る。なお調査結果は「迷惑メール撲滅運動」というWebサイトで公開している。

(水野 孝彦=日経ネットビジネス)