電子認証の最大手、米ベリサイン社が3月6日、同社の2002年度の事業戦略を明らかにした。来日中のストラトン・スクラボス社長兼CEO(最高経営責任者)は「2002年はボイス(音声)とネットが融合する最初の年になる」と語り、“音声通信サービス”を認証、決済、ネット上でホスト名とIPアドレスを対照させるDNS(ドメイン・ネーム・サービス)事業に続く“第4の柱”に育てる方針を示した。都内で開催された事業戦略説明会で説明したもの。

 ベリサイン社は昨年9月に米地域通信会社間の相互接続サービスなどを提供するネットワーク会社、米イルミネット・ホールディングス社を買収した。通信サービスへの注力は、この買収を受けてのものだ。2002年中にはイルミネット社のサービスに、一般加入電話とネット電話が相互に電話をかけられるように、電話番号とIPアドレスの相互変換サービスなどを開始する計画である。

 ネット電話サービスは、日本でもヤフーが2002年春から「BB Phone」を開始するなど注目を集めている。ただし、ネット電話から一般加入電話へ電話をかけられても、その逆は難しいなどの問題があった。ヤフーのBB Phoneでは、その問題点を専用のアダプターを提供することで解決した。一方、ベリサインでは、現在のDNSの仕組みを拡張することで、電話番号とIPアドレスの交換を図る。言うなれば、DNSをネット電話の“交換機”にしようというわけだ。

 ベリサイン社は2000年6月にDNSの運営・管理会社、米ネットワークソリューションズ社も買収している。DNSのリクエスト数は2001年度第4四半期(2001年9月~12月)で、1日当たり約54億件に上る。1年前は約24億件だった。「ボイスとデータ通信が融合すれば、将来5年以内にDNSに対するリクエストは1日1兆件を超えるだろう」とスクラボスCEOは語る。

(永井 学=日経ネットビジネス)