リクルートは、同社の生活情報サイト「ISIZE(イサイズ)」を抜本的に見直す。3月27日に、「ISIZE SPORTS」や「ISIZE GOURMET」、「ISIZE ホームページ検索」など11分野のサービスを終了。「ISIZE WORK」や「ISIZE STUDY」、「ISIZT TRAVEL」など、同社が出版する情報誌と連動する分野のサービスに力を入れる。

 ISIZEの2002年3月期の売り上げは380億円となる見込みで、当初目標の300億円を上回る予定だ。しかし、収益の柱は情報誌と連動したサービスであり、採算の合わないサービスや主力事業と関連が薄いサービスを廃止することで収益基盤を強化する。

 山本創ISIZE局長は、「3年間育ててきたサービスを終了するのはもったいないが、それにこだわっていると次の成長ステップに入れない」と、今回の決断の意気込みを語る。サービスの整理と同時に、「ISIZE」を中心に展開してきたネット上のブランド展開も、情報誌の名前を前面に打ち出す格好に転換する。サイト全体を表す「ISIZE」のブランドは継続するものの、各サービスにおいては「ABROAD」など情報誌のブランド名を中心に展開する。

 同社は1999年1月に、それまで提供してきた検索ポータル「MixJuice」を廃止し、情報誌のコンテンツやネット独自のサービスを追加して、同社のネット関連サービスをISIZEに統合した。山本ISIZE局長は、「3年前は多様なサービスを1つにまとめてユーザーを獲得する必要があった。しかし、現在はそれぞれのサービスが強くなり、固定ユーザーも付いた。『ABROAD』や『住宅情報』など、情報誌の強いブランドを軸にサービスをバラバラにして、紙、ネット、モバイルを連動させた方が得策だ」と今回の再編の狙いを語る。

 ヤフーや楽天が、圧倒的な集客力をベースに「総合力」で勝負するのとは対照的に、リクルートは情報誌のブランドごとに個別サービスで勝負する格好だ。山本ISIZE局長は、「トラフィックは重要だが、旅行や住宅、結婚などのマーケットのサイズは決まっている。商品を買うことを検討している潜在顧客をいかに捕まえるかが重要だ。その点、情報誌のブランド力でユーザーを誘導できるのは強みとなる」とみる。

(大竹 剛=日経ネットビジネス)