楽天の三木谷浩史社長は2月28日、4月1日から導入する楽天市場の新料金体系について、「予定通り実施する」と明言した。都内のホテルで開催した、同社の創立5周年記念パーティーでの発言。

 楽天市場の新料金体系を巡っては、実質的な値上げとなることや、発表から導入までの期間が約40日間と短いことなどから、加盟店が反発の姿勢を強めていた。既に一部については値下げを表明していたが、多くの有力加盟店も集まる記念パーティーの場で、更なる見直しを表明するかどうかに注目が集まっていた。

 焦点となっていたのは新体系のうち、「加盟店の売り上げのうち、月額100万円を超える分に2~3%を課金する」とした部分。「この料率では最終利益が吹っ飛ぶ」(ある有力加盟店)として、「業種によって料率を変える」「導入時期を延期する」「課金最低基準を引き上げる」などの要望が相次いでいた。

 こうした要望について三木谷社長は、「導入を延期しても、アフィリエイトなどの新サービスまで延期するというわけにはいかない。2~3%という料率は、システムを維持するのにギリギリの線だ。どこかで割り切って踏み切るしかない。加盟店ごとに料率を変えるのも、各店舗の仕入れ状況をつぶさに調べて決める手間などを考えれば、実質的に不可能」として、予定通りに課金を開始する考えを表明した。

 一方で三木谷社長は、加盟店へ料金体系の変更を通知する過程で不手際があったことを認めた上で、来週から全国で加盟店向けの説明会を開催することを明らかにした。「そこで今回の料金体系の変更によって、店舗の売り上げが何倍にもなることを理解してもらえるよう訴える。不満もあるだろうが、楽天を信じてもらいたい」と強調する。

 楽天は創業当初、インターネットユーザーの急拡大と、小さな商店でも大型店と対等に戦えるネットの可能性を訴えて、地道に加盟店を集めていった。その真摯な姿勢に、心を打たれた店主も数多い。三木谷社長がまさに「第2の創業」と言うように、今再び新料金体系でも加盟店の理解と信頼を得ることができるかどうか。“全国行脚”の行く末が注目される。

(酒井康治、河野修己=日経ネットビジネス)