楽天は、既に発表済みの楽天市場の新料金体系の一部値下げに踏み切った。実質的に値上げとなる新体系の導入に反発した加盟店に配慮したもので、2月26日に加盟店に通知した。

 楽天が、楽天市場の料金体系を定額制から従量制へ移行すると発表したのは2月21日。当初の案では、これまでシステムの利用状況にかかわらず月額5万円だった料金を、売り上げが月額100万円を超える店舗については、超過分の2~3%を定額分に加えて徴収。さらに販促用の電子メール配信システムの利用については、月に10万通を超える分について1通当たり0.5~2円を課金する。資料請求やプレゼントなどの受け付けについても、月に7000件を超える分に対して1件当たり2円を徴収する、というものだった。

 しかし、当面の間は一定の割引制度があるものの、加盟店によっては料金が一気に数倍から10倍以上にもなることや、発表から導入まで約40日間しかないことなどに多くの加盟店が予想以上の反発を見せた。そのため楽天は、発表からわずか2日後の23日には、電子メールへの課金について大幅な値引きを表明せざるを得ない事態となり、26日に具体的な改訂案を加盟店に通知した。

 今回の改定案ではまず、超過メールへの課金料率を1通当たり0.25~1円と従来の半分にした。その上で当面の間の割引制度として、店舗の売り上げの5%分を超過メールの料金から差し引くとしている。楽天の試算によれば、この改訂で実際に超過料金を支払わなければならない加盟店は約50店舗程度に減少するという。つまり、実質的にメール課金を撤回した形となったわけだ。

 だが、これで終わりではない。今後楽天が、もう一段の料金体系の見直しを迫られるのは確実だ。次に焦点となるのは、月額100万円を超える売り上げに対する課金である。折しも楽天は明日28日に、都内のホテルで創立5周年記念パーティーを開催する。この席に多くの有力加盟店が招待されており、当事者同士が直接相まみえることになる。複数の有力加盟店は「料率や導入時期の見直しを三木谷(浩史)社長に強く求める」と明言しており、「白紙回答の場合は撤退も辞さない」とする加盟店さえある。

(河野修己、大竹剛=日経ネットビジネス)