コンビニエンスストアのローソンが店舗に設置するキオスク端末「Loppi(ロッピー)」の取扱高が今期600億円に達し、初の黒字になる見込みだ。セブン-イレブン・ジャパンの「セブンナビ」、ファミリーマートの「Famiポート」など、同業他社がキオスク端末を使ったビジネスの不振にあえぐ中、一人勝ちの状態となった。

 ローソンは、他社に先駆けて1997年9月から各店舗にLoppiを設置しており、2001年末現在、7615店の全店舗で稼働中だ。Loppiではチケット販売、宿泊予約、ショッピング、ローン返済など15ジャンルのサービスを提供している。2001年は、利用者の増加に加え、EC(電子商取引)サイトの決済代行やプリペイド式携帯電話の販売が急激に伸びたことで、取扱高を伸ばした。

 また、9月から開始した東京・三鷹の森ジブリ美術館の入場チケットの予約販売や、映画『千と千尋の神隠し』のチケットとグッズの販売を開始し、ディズニーなどの大手コンテンツ提供会社がLoppiの利用に注目し始めてコンテンツの範囲が広がったことも、要因の1つだ。さらに、この2月期でLoppiの初期導入分の減価償却(定率)がほぼ終了することも、採算性の改善に寄与した。

 今後は、映画や音楽などエンターテインメント系のコンテンツに力を入れる方針だ。レコード会社と契約して、ライブチケットを独占販売するなどの囲い込み戦略も進めていく。また、Loppiはサービス開始当初から同じシステムを利用しているため、回線の通信速度の遅さがネックとなっている。そこで、今年3月をめどに端末を更新し、全店舗にコンテンツサーバーを置いて処理時間を短縮する予定だ。

(田中 久美子=日経ネットビジネス)