NTT-MEがソフトバンク・グループのインターネット電話「BB Phone」への対抗策を打ち出した。2002年3月にも同社のネット電話サービス「WAKWAKコール・ゴーゴー」を一般電話からも着信できるようにするなど、サービスを拡充する。NTT-MEの池田茂社長は「サービスの詳細は、BB Phoneの動向を見ながら詰める」と話す。

 WAKWAKコール・ゴーゴーは、NTT-MEが2001年12月初旬に開始したインターネット電話サービス。同社のADSL(非対称デジタル加入者線)サービスの「WAKWAK」に加入しているユーザーが利用できる。電話機に専用のターミナルアダプターを取り付けると、一般加入電話に安価に電話をかけられるほか、会員間は無料で通話できる点はBB Phoneと同じだ。

 BB Phoneを含め、これまでのインターネット電話は一般加入電話に電話をかけられても、一般加入電話からインターネット電話へかけることができなかった。WAKWAKコール・ゴーゴーでは、既にフリーダイヤルを使って一般加入電話から着信できるサービスを提供しているほか、2002年3月をメドに「IP電話番号」に対応した一般加入電話からの着信サービスを提供する。

 IP電話番号とは、ネット電話に利用するIP電話機やIP電話ソフトに割り振る電話番号のこと。総務省は2001年6月に発足した「IPネットワークに関する研究会」で検討を進めており、年内に通信手順などをまとめた報告書を提出して事業者などから意見を募る。早ければ2002年2月にも結論が出る見通しだ。このIP電話番号を事業者が採用することで、一般加入電話から、IP電話機やIP電話ソフトなどを呼び出せるようになる。

 ただしNTT-MEのサービスがBB Phoneに対抗するためには、料金面で課題が残っている。現在、WAKWAKコール・ゴーゴーでは月額2200円の基本料金に加え、全国一律で90秒ごとに10~20円の通話料がかかる。このほかADSLサービスのWAKWAKの利用料金が付加される。月額基本料金が530円(アダプターのレンタル料金を含む)、通話料3分7.5円の料金体系を打ち出したBB Phoneに比べて見劣りする。

 NTT-MEの金田哲也第4マーケティング本部長は「料金体系の見直しは検討課題の1つ。しかし、ネット電話の料金値下げには難しい問題もある。ネット電話で一般加入電話と通話する場合、最終的には市内網を経由し、NTTの東西地域会社にアクセスチャージを支払う必要があるからだ。アクセスチャージは3分間で5.88円。BB Phoneの3分7.5円という料金体系で、果たして設備投資を回収して収益を出せるのか疑問を抱いている」と語る。

(永井 学=日経ネットビジネス)