ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は12月20日、ソフトバンクグループと共同で、2002年春から家庭用ゲーム機のプレイステーション2(PS2)向けのブロードバンドのネットワークサービスを開始すると発表した。これによりPS2のユーザーは、ソフトバンクグループのADSL(非対称デジタル加入者線)サービス「Yahoo! BB」が提供している、映画や音楽、ゲームなどのコンテンツや、EC(電子商取引)、ネットオークションなどのサービスを利用できるようになる。料金体系は未定。両社は2002年2月中旬にサービスの詳細を発表し、3月に試用サービス、4月から5月ごろに本サービスにこぎつけたい考えだ。

 これに伴いヤフーは、「Yahoo! BB」のブランド名でPS2ユーザー向けの専用ポータルサイトを開設し、コンテンツを提供する。ソフトバンクグループは、既に映画配信に向けて100テラバイトの配信サーバーを構築済み。これを活用して、ビデオ・オン・デマンドなどのサービスを提供していく。PS2でネットワークゲームを楽しみながら、12月18日に発表した「BBPhone」で無料でネット電話を楽しむ、といった使い方も可能という。さらにソフトバンクが発行する雑誌に、ネットワークゲームの本体などを組み込んだDVD-ROMを添付して配布する計画だ。

 サービスを利用するには、「PS2専用ブロードバンドユニット」が必要になる。このユニットは、40Gバイトのハードディスクと100Mビット/秒の通信速度持つ100BASE-TX対応のLANポートを備えている。Yahoo! BBのインフラ構築・運営を担当するビー・ビー・テクノロジーズが、PS2を所有するYahoo! BBユーザーに同ユニットを販売もしくは貸与する。

 今回の提携について、ソフトバンクのソフトバンクの孫正義社長は「リビングでブロードバンドを普及させる手段として、セットトップボックス(STB)に目を付けてきたが、機能面や普及にかかるコストが問題だった。PS2と組めれば問題は一気に解決できると考えていたところ、SCEの久夛良木社長と思惑が一致した」と話す。

 一方のSCEの久夛良木健社長は、「日本でもADSLの普及で、常時接続のブロードバンド環境が想像以上に早く広がり始めた。映像、音楽、ゲーム、出版など、様々なメディアがブロードバンドのネットワークに統合される時代が来る。PS2は既に世界で2000万台を出荷している。ゲームに限らず、映像や音楽などのコンテンツをユーザーに届けるプラットフォームとして、様々なコンテンツ制作者に使ってもらいたい」と語る。

 SCEにとっては、12月11日に発表したNTTブロードバンドイニシアティブ(NTT-BB)と、インターネット接続プロバイダー「So-net」を運営するソニーコミュニケーションネットワーク(SCN)との提携に続く、PS2向けブロードバンドサービスの第2弾となる。久夛良木社長は「SCEはオープンな立場で今後も様々なプロバイダーの参画を募る。さらに2002年には、PS2向けのデジタル放送の受信チューナーなども提供することで、放送も取り込んでいく」と意気込む。

(永井 学=日経ネットビジネス)