日産自動車は今年度中に、直営販売会社と一部のグループ会社、合計約200社の3000拠点でネット調達を始める。10月からシステムの導入を開始しており、現時点では120社が導入済み。調達するのは文具や工具、清掃サービスなど間接費や経費で購入するMRO(Maintenance, Repair and Operation)物品で、年間で総額約300億円に達する。ネット調達を導入することで系列各社の購買を束ね、価格交渉力をアップすることで、約20%のコスト削減を狙う。

 日産はカルロス・ゴーン社長の下で、「日産リバイバルプラン」の一環で購買原価低減活動を推進し、今年度中に連結で約20%の購買コストの削減を目標にしている。同社購買部門の大谷秀一部長は、「既に18%のコスト削減は達成したが、目標までにまだ2%足りない。今まで手つかずだった販売会社のMRO調達にメスを入れることで、さらなるコスト削減を実現したい」と語る。

 ネット調達を系列の販売店に導入するに当たり、NTTコミュニケーションズが運営するMRO向けe-マーケットプレイス「.com Co-Buy」を採用した。.com Co-Buyを日産本体の経費購買システムと接続し、日産グループ専用の調達ネットワークとして活用する。既に、日産と取引があるサプライヤー約100社が参加を決めた。

 .com Co-Buyには、日産のほかJTなどバイヤー約70社、サプライヤー約140社が参加している。今まで日産と取引のなかったサプライヤーでも、.com Co-Buyに参加していれば、日産との取り引きに新規参入することも可能だ。日産は、将来的にはネット対応をサプライヤー選定の条件にする計画で、各地の販売店と取引している地域のサプライヤーにとっては、厳しい競争にさらされるのは必死だ。

(大竹 剛=日経ネットビジネス)