国土交通省が11月13日に初めて電子入札を行い、「電子政府」構想へ第一歩を踏み出した。今後、2001年度で100件、2002年度で2000件、2003年度ですべての公共工事の入札を電子化する計画になっている。

 これに関連して、政府は2002年度より電子政府化に欠かせないIT関連システムなどの入札方法を改正する。改正は、総務省、経済産業省、財務省の3省が中心となって遂行する。「安値入札の防止」「中小・ベンチャー企業の参加促進」「調達プロセスの適正化」の3つが目的だ。経済産業省は、最初の2項目に関しては2002年の4~6月に、残りも2002年度中に実行するとしている。

 安値入札の防止については、落札業者を決定する際に、企業の技術力と入札価格を点数化して互いに足し算する「加算方式」の採用を検討する。これまでの除算方式は、技術点を価格で割る方式だったが、価格が0円に近いほど評価点が上がる欠点があった。このため極端な安値での入札や大手企業が落札の8割を独占、といった問題が生じていた。

 中小・ベンチャー企業の参加を促進するため、企業の評価方式も事実上廃止する。現在は企業を「売上高」「資本金」「設立年数」「流動比率」の4項目で点数化し、合計点を基にA~Dの4つにランク付けしている。ベンチャー企業の多くは、年数が足りないためにDランクにとどまり、Aランク企業に限定されている3000万円以上の調達に参加できなかった。これを、Aランク以外の企業も入札できるようにする。加えて、これまでは不可能だったジョイントベンチャー方式での入札も認める。

 調達プロセスの適正化は、プロジェクト管理などを大手企業に依存していた体質を改善する。コストや納期を守る企業に対しては、インセンティブ付きの契約を結ぶ。

(田村 嘉麿=日経ネットビジネス)