NTTドコモは11月6日、総務大臣に対して「大量のあて先不明メールの受信ブロック」を契約約款に入れるために認可申請した。これは、急増する迷惑メールの被害を減らすための措置で、同社のサーバーが大量のあて先不明メールの受信を一括拒否するというもの。

 さらに同社は迷惑メールを防御する、iモード向けの新機能を発表した。これはユーザー側で受信するメールアドレスとドメインを、合計10カ所まで指定できる「ドメイン指定受信機能」と、受信したメールを開封せずに削除できる「選択受信機能」の2種類。ドメイン指定受信機能は、既存の端末を含め2002年1月からすべてのiモード対応端末について設定が可能となる。一方、選択受信機能については、2002年度中に発売するiモード対応端末に搭載する予定だ。

 現在NTTドコモは、1日に約9億5000万通のメールを受信しているが、そのうち実在しないあて先へのメールが約8億通に上るという。このため膨大な処理が発生し、通常のメール配信が遅延するケースが増えていた。榎啓一取締役も「このまま迷惑メール数が急増すれば、メールサーバーが潰されてしまうほどの危機にひんしている」というほど状況は深刻だった。

  既に同社は2001年7月29日、「正常なメール配信に遅れが生じるなど業務に支障が出た」として、横浜地方裁判所に対し携帯電話への迷惑メール送信業者に対し送信禁止を命じる仮処分を申請していた。これを受け同地裁は、10月29日に横浜市内の「出会い系」メールの配信業者に対し、迷惑メールの送信を差し止める決定を下している。ドコモは今回発表した迷惑メール防止機能の提供に加えて、今後は他の「迷惑メール業者」にも同様の仮処分を申請していく構えだ。

(朝比奈明日香=日経ネットビジネス)