米アフィリエイト大手のリンクシェア社のステファン・D・メッサー会長兼CEOが、同社のアフィリエイトプログラム「LinkShare」の販売促進のために来日した。アフィリエイトプログラムは、成果報酬型のネットマーケティング手法の1つ。EC(電子商取引)サイトが、提携(アフィリエイト)先のサイトに商品の売り場を設置させてもらうなどの方法で販路を拡大し、商品が売れたら一定の報酬を支払う。LinkShareは、複数のECサイトとアフィリエイトサイトをリンクするサービスで、米国では400のECサイトと100万のアフィリエイトサイトを抱える。国内では提携先の三井物産が、今年3月から日本向けにLinkShareを販売している。同社のメッサー会長に、米国のアフィリエイト事情を聞いた。

--9月11日のテロ事件は、ネットマーケティングやECの状況に影響を及ぼしますか?
 テロの直後は多くの人がテレビに釘付けになったので、アフィリエイトプログラムで商品を購入する消費者は一時的に減った。だが、消費者がテロを恐れ、ショッピングモールなど人が集まるところに出かけるのを控えると予想される。今年のクリスマスにはECサイトを利用する人が増えて、アフィリエイトプログラムの利用はさらに活発になるだろう。

--日本ではバナー広告などネット広告の不調が続いていますが、米国ではどうですか?
 米国も不況の影響で、広告主は従来のバナー広告よりも費用対効果の優れたマーケティング手法を求めるようになった。しかし、こうした動きは成果報酬型のアフィリエイトには追い風になる。従来のバナーでは、クリックした人の中で実際に商品を購入する人の割合は0.5%程度だが、LinkShareを使ってアフィリエイトを始めたあるアパレルECサイトでは、その割合は8.5%もあった。注文1件当たりのコストも、従来のバナーでは15~20ドルだったが、先のアパレルサイトの場合は6.75ドルにとどまった。アフィリエイトを使うことで、ネット広告にかかるコストを削減できるわけだ。

--費用対効果を重視すると言うことは、米国の広告主はネット広告の予算を減らし始めているのですか?
 確かに広告予算は減る傾向にある。しかし、インターネットユーザーのすそ野は広がっており、視聴時間が減っているテレビに対してネットのに使う時間は逆に増えている。広告予算の増減だけで、ネット広告の将来性を語ることはできない。コスト重視の広告主のニーズをくみ取ることができれば、ネット広告まだまだ伸びる市場だ。そのためにも、アフィリエイトの利点をアピールして、この市場を伸ばしていきたい。

(聞き手は大竹 剛)