コミュニティーに関するコンサルティング会社、米ナイマ(NAIMA)社の設立者で、自身もコンサルタントとして活躍しているエイミー・ジョー・キム氏にインタビューした。同氏は米国で、イーベイ社やヤフー社など約40社のコンサルティングを手がけている。「ネットコミュニティ戦略―ビジネスに直結した場を作る」(翔泳社刊)の著者でもある。国内では、パートナーであるイーライフ(東京都渋谷区)を通じ、米国で培ったノウハウを提供している。

――米国では、コミュニティーをどんな用途に使う企業が多いですか?
 2、3年前までは、マーケティング面の活用が盛んでした。最近は、コストセービングを目的とした利用が広がっています。具体的には、カスタマーサポートです。例えば、ハイテク商品については、企業よりも詳しいユーザーがいます。そうしたユーザーを中心に、ユーザー同士がサポートし合う環境を用意することで、企業の負担を減らすことができます。そうした仕組みを設計するのが私の仕事です。

 また、ナレッジシェアリング(知識共有)に使う企業も増えています。社員同士が分からないことを質問し合う仕組みにより、業務を効率化することが狙いです。ほかには、オンラインゲームの仕事も多いですね。ゲームメーカー大手の米エレクトロニック・アーツ社は私のクライアントです。オンラインゲームでは、ゲームの中で活発なコミュニティーを作ることが重要です。コミュニティーのコンサルティング手法が応用できる分野です。

――コミュニティーの運営で犯しやすいミスとは?
 バーチャル(ネット)のコミュニティーはとリアルのコミュニティーとは違う、という思想を持つ運営者が多いですが、それは誤りです。コミュニケーションを維持するという点ではバーチャルもリアルも同じです。バーチャルのコミュニティーでも、運営にはリーダーが必要ですし、新しい参加者は歓迎しなければいけません。やっかい者も現れます。リアルと同じなのです。

 コミュニティーの規模をいきなり大きくしようと急ぐケースも多いですが、これも間違いです。まずはテーマを絞って小規模から始めることにより、スムーズにコミュニティーを次のステップへ成長させることができるのです。グラフィックスやインターネット関連の最新技術を活用したインタフェースを使う。これも多くの企業が取り入れていますが、“害”につながるケースが多いです。ユーザー同士の関係を強化するために本当に必要なのかどうか、再検討すべきでしょう。

(聞き手は小川 弘晃=日経ネットビジネス)