2001年9月11日に米国で発生した同時多発テロは,ネット関連企業の業績にも大きな影響を与えそうだ。米ゴールドマン・サックス証券調査部は9月19日に発表したレポートで,航空券販売やホテル予約など旅行関連サービスを主力事業とするドットコム企業の2001年の売上高は,当初の予想より10%以上低くなるとしている。

 同調査部は,ネット上で航空券を販売するプライスラインドットコム社の2001年の売り上げ予想を,13億ドルから約15%減の11億ドルに引き下げた。また,ホテルやレンタカーなどの予約を手がけるトラベロシティドットコム社は,3億2900万ドルの予想が約10%減の2億9500万ドルに,同業のエクスペディア社は3億ドルの予想が約11%減の2億6800万ドルになるとしている。

 売り上げの予想を引き下げた理由としては,テロ直後の飛行禁止期間における旅客数の減少に加えて,各航空会社がフライト数を以前の20%減に抑えた運行体制を当分の間続けそうなことや,安全性のチェックが厳しくなり旅行の利便性が損なわれることなどを挙げている。また,2002年の売り上げに関しては当初の予想より16~19%の減少になるとしており,テロの影響が来年以降も続くことを示唆している。

 同調査部は,アマゾンドットコム社やイーベイ社など旅行関連以外のEC(電子商取引)企業と,ヤフー社やAOLタイムワーナー社などメディア・ネット広告企業の業績についても見通しを発表している。具体的な数字には踏み込んでいないものの,テロにより消費意欲が後退したり,物流システムが混乱したりする恐れがあり,当初の見込みより減収減益の可能性が高いとしている。

(河野 修己=日経ネットビジネス)