日本でも普及しつつある「e-ラーニング」。多くの企業がシェアを奪い合う市場に,ついに世界最大のサービス提供会社が参入することになった。2001年5月期の収益が5310万ドルと,前年比3倍になったサバ社だ(http://www.saba.com/)。アジアパシフィック地域担当のポール・グリーニング副社長は「日本のe-ラーニング市場は,サバ社の参入で劇的に変化する」と語る。
 
――参入を決めた時期が,なぜ今なのか。
 日本の市場は,パソコンを利用する教室集合型のe-ラーニングから,ネットワークやブラウザーなどの技術を活用した分散型に移行しつつある時期だからだ。やっとサバ社の提供するサービスが受け入れられるタイミングがやってきた。

――日本のe-ラーニング市場には先行企業が数多くある。競合相手に対するサバ社のアドバンテージは?
 サバ社の売りは経験が豊富であること。1997年4月に設立したサバ社は,現在11カ国でサービスを提供している。弊社のe-ラーニング・ソフトウェアを利用している企業は,世界でも大手企業が中心だ。米有力経済誌フォーチュン誌のランキングで,トップ5にランクされた企業のうちGE社やシスコシステムズ社など3社が採用している。また政府が採用しているところもある。例えばノルウェーでは,政府が大規模なe-ラーニング計画を実施する予定で,弊社からライセンスを400万人分購入した。そのほかオランダやスコットランドも,国策の一環として弊社のシステムを導入した。

――日本における事業内容を教えて欲しい。
 弊社が提供するのは,e-ラーニングのプラットフォーム部分と,企業が独自の教材を作るためのソフトウェア,そして導入のためのコンサルティングサービスだ。コンテンツに関しては,日本国内の企業と積極的に提携するつもりだ。

――ターゲットはどこに定めているのか。
 当然BtoB向けだが,中でも大規模にe-ラーニングを導入する大企業が中心になるだろう。具体的な時期や企業名は明かせないが,既に外資系企業の数社からコンタクトがあった。
(聞き手は喜田 泰代=日経ネットビジネス)