「いつでもどこでもネットワークにつながる“ユビキタスネットワーク”が,ソニーの進もうとする方向だ」--。9月12日,ソニーマーケティング(東京都港区)の小寺圭社長は,パソコンからMDにデジタルデータを転送できる「NetMD」規格に対応した製品の発表会上でこう宣言した。“ユビキタスネットワーク”とは,家庭内の家電や街中の端末などがネットワークで結ばれることによって,どんな状況でもネット接続できる状態を意味する。


 そうしたネットワーク端末として発表されたのが,12月10日発売のNetMDウォークマン「MZ-N1」などMD対応AV機器4種類。いずれもインターネットでパソコンにダウンロードした音楽データを,USBケーブル経由でMDに録音できる機能を持つ。ソニーマーケティングは既に,同様の手順でメモリースティックに記録する「ネットワークウォークマン」を発売している。しかしメモリースティックは128MBで実売1万5000円程度と高価なため,さして普及していない。今回は,1枚100円程度の低価格で,今年中に2億枚出荷見込みと普及が進んでいるMDを利用することで,音楽配信ビジネスが急速に活性化するとにらんでいる。

 同時に,レーベルゲート(東京都品川区)の音楽配信プラットフォーム「Label Gate」(http://www.labelgate.com/)に参加しているレコード会社8社と,ドゥーブ・ドットコム(東京都港区,http://www.du-ub.com)は,今年12月上旬からNetMDに対応した楽曲の配信を開始する。楽曲はソニーの暗号化技術が施され,コピーは2回までに限定されている。パソコンにダウンロードした時点で1回,MDに転送して2回と数え,これ以上のデジタルコピーはできない。
(田中 久美子=日経ネットビジネス)