少額決済に特化したネット専業銀行であるイーバンク銀行(東京都千代田区)が,2001年7月23日に開業する(http://www.ebank.co.jp/)。ネットオークションやネットショッピングなど,EC(電子商取引)で利用できる決済サービスを提供する。一般的なネットバンキングと異なり,個人ユーザーは手数料無料で振り込みサービスなどを利用できる。3年間で150万口座の獲得を目指す。

 「個人ユーザーに“ネット上の財布”として使ってもらうのが狙いだ。特に個人間のネットオークションでは,互いに決済手数料がかからず,即時に決済できるため爆発的な普及が見込める」と松尾泰一社長は語る。イーバンク銀行への入手金は,第一勧業銀行や三井住友銀行のATMから可能で,秋にはあさひ銀行のATM網も対応する。ただし入出金にはATMの利用手数料がかかる。

 一方,ECサイトなどを運営する事業者からは,取引額の数%の手数料を徴収する。クレジットカードに似たビジネスモデルで,手数料率はEC事業者ごとに個別応談になる。「クレジットカードの手数料率は,低い場合で2~3%,高い場合で7~8%程度。イーバンクの手数料率はカード会社の約半分にする」(若山健彦副社長)。まずネットオークションで個人ユーザーを増やし,EC事業者に消費者への利便性向上の手段として導入を促す考えだ。

 2001年秋には電子メールによる送金が可能なサービス「ペイパル(PayPal)」を開始する。これは2001年2月に提携した米ペイパル社が,1999年11月に開始したサービスを日本で展開するもの。送金先の電子メールアドレスを指定するだけで決済できる。送金する相手が口座を持っていなくても,送金相手は入金の通知メールから口座開設して受け取れる仕組みだ。既に米国では800万口座を獲得している。さらに同時期に,ヤマト運輸などと共同でオークションなどで落札者の決済代金を一時預かり,商品が到着してから出品者に支払うエスクロー(預託)サービスも開始する計画である。

(永井 学=日経ネットビジネス)