時計メーカーの間で,腕時計の商品開発にインターネットを活用する動きが加速している。カシオ計算機は,7月末に販売する主力商品G-SHOCKの新モデルなどの開発に当たり,Webサイト上でユーザーから募ったデザイン案を採用した。セイコーも,6月に発売した主力商品WIREDの新モデルに,Webサイトに寄せられたユーザーの意見を反映した。このほか,セイコーインスツルメンツ(SII)とリコーエレメックスは既に昨年から,ネットで募ったユーザーの意見を取り入れた腕時計を販売している。

 カシオ計算機は,G-SHOCKの専用サイト「G Factory」(http://www.gfactory.co.jp/)で,文字盤やバンド,ロゴなどの色の組み合わせの公募を昨年12月に開始した。約800件の応募の中から,ユーザー投票により選ばれたG-SHOCKの3モデルとBaby-Gの1モデルを,今回製品化する。価格はG-SHOCKが1万2000円,Baby-Gが1万4000円。

 セイコーは,WIREDの専用サイト「W-wired.com」(http://www.w-wired.com/)に開設したアンケートコーナーで,昨年6月からデザインや機能に関する意見を集めている。同社は,次期モデル以降でも,ネットを利用した商品開発を続ける予定で,今後は海外のユーザーからも意見を募集することを計画している。

 一方SII は,昨年6月に製品化したappetimeにユーザーの声を取り入れた。セブンドリーム・ドットコム(東京都港区)と共同開発で開発した製品で,半年で約1万5000本を販売した。7月からappetimeの次期モデルの開発に取り組む予定で,SIIが運営する「appetime.com」(http://www.appetime.com/)の中に掲示板を開設し意見を募集する。来春にも新モデルを製品化する予定だ。

 リコーエレメックスも,ネットでユーザーの声を取り入れて昨年6月に製品化したWALGの第2弾の開発に着手している。同社が運営する時計のコミュニティーサイト「Time-REX」(http://www.timerex.com/)を利用し,次期モデルに対する意見募集を6月27日から開始した。来年3月の製品化を目指している。

 時計の替わりになる携帯電話が普及したこともあり,ここ数年,腕時計の需要の低迷が続いている。各時計メーカーがネットの活用を強化しているのは,こうした状況を打開することが狙いだ。「ユーザーに対し訴求力のある商品を提案するには,数多くのユーザーの声を短時間で集められ,かつユーザーの本音を集めやすい,ネットの活用が不可欠だ」と,セイコー商品企画部の高本佳明主事は語る。