2001年5月25日、ネットゲームを手がけるイサオ(東京都港区)の新社長に、副社長でセガ常務の高倉鉄夫氏が就任した。前社長の大山俊道氏は、セガ専務として同社の再建に専念するため退任した。イサオの今後について高倉氏に聞いた。

――セガが経営再建中だが?
 「ドリームキャスト(ドリキャス)は、ネットゲームがこれから立ち上がるという時に“早すぎた死”を迎えた。イサオにとってはセガ頼みからの脱却が急務だ。今後は他のソフト会社へのインフラ提供に重点を置き、マルチプラットフォーム化も進める。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)や任天堂もお客さんになり得る」。

――ネットゲームが不振だった原因は?
 「イサオが収益を上げるには、単純な対戦ゲームでなく、滞在時間の長い多人数参加型のタイトルが必要だ。それが揃わなかった。昨年末、有望タイトル『ファンタシースターオンライン(PSO)』が登場したが、ドリキャスが盛り返すには遅きに失した観がある」。

――収益モデルをどう変えるのか?
 「事業の3本柱はインターネットプロバイダー(ISP)、ゲームサーバー運用、チャットなどのコミュニケーションサービスの3つだ。ドリキャス後も、ISP事業は切り捨てない。“ゲーマーズISP”として、快適な接続環境を提供する。既に2000年の7月から、パソコン向けのISPサービスも始めている。複数のソフト会社からサーバー運用も受託する。
 ただし、コンテンツへの集客を狙って実施した広告キャンペーンは不振だった。200万人以上を狙ったが結果は10分の1。今後、コンテンツの自社開発はやめ、運営受託に特化する」。

――今後の見通しは?
 「84万人の会員がおり、月商は4億円ある。勝負はこれからだ。社名の由来となったセガの大川功前会長は死去したが、イサオ(ISAO)という社名を変えるつもりはない」。
(聞き手は本間 純=日経ネットビジネス)