大手パソコンメーカーのNECと富士通は,Webサイト内の新製品の販促ページに3次元コンピュータグラフィックス(3次元CG)を採用した。5月下旬に発表した新製品を,より強くアピールするのが目的だ。NECの山口昌幸iカスタマーリレーション本部マネージャーは「従来の静止画とテキストによる説明だけでは伝えにくい特徴も,3次元CGならばきちんと告知できる。商品の見せ方をリアルに近づけることで,ネットを通じての訴求力を上げる」と3次元CGを採用した狙いを語る。

 NECは,パソコン直販サイト「121ware.com」(http://121ware.com/)に導入した。10モデルのパソコンを3次元CGで表現している。マウスで角度を変えたり,CD/DVD-ROMドライブやノートパソコンの開閉などの動作を見ることができる。モニターの種類を自由に選んで,シミュレーションすることなども可能だ。同社は,Webサイトの大幅リニューアルに要した全コストの約10%を,3次元CGのコーナーの制作にかけたという。富士通はパソコン関連の情報サイト「FMWORLD.NET」(http://www.fmworld.net/)で,14モデルのパソコンを3次元CGで見せている。

 パソコンメーカー以外にも3次元CGを活用する企業が増えている。例えば富士重工業は,人気車レガシーのマイナーチェンジに合わせて5月23日に開始した。カーアクセサリー用品のサイト「スバルカスタマイズワールド」(http://accessory.subaru.co.jp/)で,スポイラーやアルミホイールなどのカーアクセサリーを選択し,レガシーに装備した状態を,3次元で表示できる。ディーシーカード(東京都渋谷区)は5月16日から,同社のWebサイト(http://www.dccard.co.jp/)で,3次元CGの女性キャラクターと音声を用いてクレジットカードの活用方法を紹介している。

 各社とも,3次元CGコンテンツを表示するには,無償の専用ブラウザーが必要になる。ネットの3次元CGについてはこれまでほとんど成功例がないが,「パソコンの性能も3次元CGの技術も大きく進化した上に,ブロードバンドの普及に伴い環境が整ってきた。今後EC(電子商取引)サイトなどに採用する企業が続出するだろう」とNECの山口マネージャーは語る。
(小川 弘晃=日経ネットビジネス)