次世代携帯電話「FOMA」には見るべき新サービスがない――。NTTドコモは4月26日,「FOMA」の本サービス開始を10月1日に遅らせ,本来予定していた5月30日から約4カ月間は利用者を限定した試験サービスとすると発表した。試験サービスで利用できるコンテンツはiモードやiアプリ,PHS向けに配信されている動画など既存のものにとどまる。本サービスを予定通り実施していたとしても,高速通信機能を活用したコンテンツは不在のままだったことが明らかになった。

 今回の延期の原因は,回線交換機や携帯電話端末などに搭載されたソフトに不具合があったため。当初は試験サービスとすることで,新たな不具合を早期に発見してシステムの安定性を高める。試験サービスでは利用者を公募して4000人程度に限定し,3種類の端末を用意して無償貸与する。通信料は1パケットあたり0.05円で,従来のiモード端末では同0.3円なのに比べて6分の1になる。

 FOMAの特徴は,通信速度が下りで最大384キロビット/秒と,従来のiモード端末と比べて40倍に達することだ。このため動画や音楽など,大容量のデータを送受信するのに向いている。端末の1機種はカメラ内蔵で,テレビ電話の機能を果たす。しかし,5月から利用できる動画コンテンツは,以前からPHS向けに提供されていた動画配信サービス「M-stage visual」向けのものに限られる。iアプリのサイズも,最大10キロバイトのままだ。

 将来的には,短い動画を楽しめる映像クリッピングサービス「iモーション」と,PHS向けの音楽配信サービス「M-stage music」をFOMA向けに提供する予定だが,サービス開始時期は未定だ。
(瀧本 大輔=日経ネットビジネス)

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