マツダは2001年2月2日から,インターネットを活用した自動車のBTO(ビルト・ツー・オーダー:受注生産)サービスを開始する。顧客は新たに開設するWebサイト「ウェブチューンファクトリー」(http://www.w-tune.com/)で内外装など好みの仕様を選び,カタログにはない「自分だけの車」を組み立てて注文できる。
マツダのマーク・フィールズ社長は「ネットの活用でオンデマンド販売への大きなチャンスが訪れた。新生マツダに向けてe-ビジネスを強力に推進する」と意気込む。対象となるのはスポーツカーの「ロードスター」とワゴン車の「ファミリアS-ワゴン」の2車種。ユーザーの反応を見極めた上で対象車種の拡大も検討する。
ユーザーが選択できるのはエンジンやミッションの種類(ロードスターの場合),タイヤ・ホイール,インテリア,カーオーディオ,ボディーカラーなど。ロードスターが4160通り,S-ワゴンは912通りの組み合わせが可能である。本体価格もカタログモデルより15万円程度安くした。さらにロードスターではBTO限定のボディーカラーとして,新たに「サンバーストイエロー」も追加し,3月19日までの商談申し込みで450台限定で販売する。
メーカー直販の形ではなく,価格交渉や納車はディーラーが担当する。ユーザーが車をカスタマイズして見積もり請求ボタンを押すと,その情報を最寄りのディーラーが引き継ぐ。ディーラーは営業時間内であれば30分以内に電子メールで見積もりを返信する。ネットでクレジット審査や下取り車の簡易査定の申し込みも可能だ。その後,ディーラーの店頭での商談・契約を経て,正式にマツダが受注する形をとる。納期は約4週間で,購入後は顧客ごとにパーソナライズされたWebページで車両の生産状況を確認できる。
当面の販売目標台数は,月販でロードスターが60台,S-ワゴンは50台。現在,ロードスターは月産500台,S-ワゴンが1500台で,予想通りの受注があればロードスターは全生産台数の1割程度をBTO形式で販売することになる。受注した車はマツダの広島工場と甲府工場の2カ所で生産する。工場への新規投資などは発生せず,現行の生産体制で対応できるという。
マーケティングではソニースタイルドットコム・ジャパン(東京都港区)と提携した。同社が運営するECサイト「Sony Style」で2月中旬にマツダの特別サイトを立ち上げる。ソニースタイルがカスタマイズしたロードスターに対し,ユーザーの人気投票などを行う。「ソニーとはカーオーディオで取引があり,パソコンのBTOも手がけていることから提携を決めた。BTO型サービスの楽しさをユーザーにアピールしたい」とマツダの国内マーケティング本部の是枝秀輔インターネットマーケティング部長は語る。