2000年の国内消費者向けEC(電子商取引)市場は急速に拡大し,前年に比べ約2.5倍の8240億円規模に達した。昨年春の“ネットバブル”崩壊後はBtoC(消費者向け)ECに逆風が吹いていると言われているものの,大手企業の参入やモバイルECの伸びなども手伝って,市場が拡大する結果になった。

 これはアクセンチュア(旧アンダーセン コンサルティング)と経済産業省,電子商取引推進協議会(ECOM)が共同で実施した調査の結果分かったもの。EC関連事業者を対象に,2000年9月から2001年1月にかけて実施したアンケートや聞き取り調査などをまとめて本日発表した。

 調査結果によると,8240億円のBtoC市場のうち,7.2%に相当する590億円をモバイル端末によるECが占めた。携帯電話向けのデジタルコンテンツ市場が400億円規模に達したためで,コンテンツの大半が着信メロディと待ち受け画面だった。アクセンチュアらが2000年1月に発表した2000年のBtoB市場規模予測は7730億円で,「モバイルECが予想以上に成長したのに加え,大手企業のECへの参入も寄与して,予想以上に規模が拡大した」(アクセンチュア戦略グループ堀田徹哉シニアマネジャー)。

 商品分野別では,単価が高い不動産(1760億円)と自動車(2020億円)の合計が,全体の46%を占めた。そのほかには,パソコン(11%),旅行,エンタテインメント(各7%)などが続いた。特に物品販売では,ソニー・コンピュータエンタテインメントの「プレイステーション2」だけで400億円に達した。

 今後は2005年までの5年間で,BtoC市場全体が約16倍の13兆3000億円規模に増加すると予測する。モバイルECの規模は約2兆4500億円になり,全体に占める割合は18.4%にまで拡大する。いずれも各種物販の規模が成長し,商品分野別の構成比格差は縮まる。市場拡大にはブロードバンド化によるコンテンツ充実や利用者増が大きな影響を及ぼすと見ている。

 同時に2000年の国内BtoB(企業間)のEC市場規模は約21兆6000億円だったと発表した。1998年のBtoB市場規模8兆6000億円から約2.5倍に増えた計算になる。このうちe-マーケットプレイスでの取り扱い高は2000億円(BtoB全体の0.9%)にとどまった。2005年のBtoB市場は約110兆6000億円規模に拡大する予測で,全体の39.4%に当たる43兆6000億円がe-マーケットプレイス上の取引になる。

 産業別では,電子・情報関連製品(全体の55%)や自動車(同34%)など特定分野でBtoB市場が急拡大した。

(瀧本 大輔=日経ネットビジネス編集)