2001年1月中に登場するJava対応の新型iモード端末で,Javaアプリケーションの互換性が確保されない可能性がでてきた。

 このJava対応iモード端末は既存のiモードの高機能版で,既存のコンテンツに加え,Javaで作成したゲームや株価チャート作成などのアプリケーションソフトをダウンロードできる。NTTドコモが「503iシリーズ」として製品化するもので,当初は松下通信工業製と富士通製の2機種を,2001年2月までにその他のメーカー3社が製造した端末を出荷する見通しだ。iモードの公式サイトを運営するコンテンツプロバイダーなどもJavaアプリケーションの開発を進めており,端末の出荷と同時に100近いアプリケーションが登場する見通しだ。

 NTTドコモは11月下旬に,Javaアプリケーションの動作試験用として松下通工製の「P503i」と富士通製の「F503i」の2機種を,iモードの公式サイトを運営するコンテンツプロバイダーに配布している。複数のコンテンツプロバイダーがこの2機種でJavaアプリケーションの動作確認をしたところ,同一のJavaアプリケーションが一方の端末では動作するが,もう一方では正しく動作しないなどのトラブルが発生したという。また,パソコン上のJava対応iモードのエミュレーターで動作確認したJavaアプリケーションが,試験端末では正常に動作しなかった例も報告されている。

 端末メーカーの関係者も「画面の色数や処理速度など端末ごとに差がありすぎる。端末間でJavaアプリケーションの互換性を確保するのは難しい」と証言する。公式サイトのあるコンテンツプロバイダーは「端末ごとに異なるアプリケーションを用意する必要があるかもしれない」とあせりの色を隠せない様子だ。

 NTTドコモが最初に試験端末を配布したのは,11月20日ころだ。しかしNTTドコモは数日後にこれらの端末をいったん回収し,11月末に再度配布している。回収の理由は何らかの不具合によるものと思われ,ソフトウエアの入れ替えを行った模様だ。またNTTドコモは11月上旬にiモードのJava関連文書をWebサイトで公開したが,これも直後に取り下げている。NTTドコモは12月中旬をめどに再度公開するとしているが,現在のところ公開していない。

 Java iモード端末の発売時期については,NTTドコモ自身は「発売1週間前にならないと正式な発表はしない」と明言を避けている。しかし,コンテンツプロバイダーの間では発売開始時期は来年1月中旬という見方が大勢だ。

(太田 憲一郎,大竹 剛=日経ネットビジネス編集)