ダイキン工業は,通常のパソコン用パッケージ・ソフトをASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)形式で提供する。ソフト本体はユーザーのパソコンにインストールし,ソフトの利用開始時と終了時だけインターネットを介して同社のサーバーにアクセスすることで,サーバー側で利用時間を管理する。料金は毎月の利用時間に応じて請求する。いわば“富山の置き薬”方式のASPで,同社はこの仕組みについてビジネスモデル特許を出願している。

 対象となるソフトは,ダイキン工業が販売しているCADソフト「FILDER」など3種類の業務アプリケーション。同社は9月20日に建設設備業界向けの情報サイト「設備設計ひろば」(http://hiroba.comtec.daikin.co.jp/)を開設しており,このサイトでサービスを提供する。FILDERは250万円で販売しているが,1時間299円と低価格に利用できるようにした。2002年にもASP事業単体で12億円,Webサイトでの情報サービスやバナー広告などの収入を加えて約30億円の売り上げを目指す。

 「建設現場の空調工事などでは,工事中に現場で施工図の修正などが頻繁に起こる。そのため,図面を作成したCADソフトを工事の間だけ低コストで利用したいというニーズが建設現場の現場事務所などで高い。ASPサービスならば,このニーズにこたえられる」と電子システム事業部の西森幸夫第一部長は話す。

(永井 学)