98年9月16日,米国発

ロイターは9月16日,米国政府が暗号製品の輸出規制を緩和すると報じた。

現状,暗号鍵の長さが56ビットを超える強力な暗号製品は,政府の規制により海外には輸出できない。金融業界向けのみ128ビットなどの暗号製品を輸出できる状況。今回の規制緩和の計画では,金融業以外に,保険やヘルスケアなどを業務とするユーザー向けの輸出を認められる見込み。また規制緩和のプランには,7月に米Cisco Systems社など13社の米国ベンダーが共同で提案した「オペレータ・アクション」(ドアベル方式とも呼ばれる)も含まれる可能性が高いとしている。

オペレータ・アクションは,ルーターやファイアウォールなどのネットワーク機器に限定して,強力な暗号の輸出を認めるというアイデア。ユーザー側のネットワーク管理者に対し,有事にはネットワークを流れるトラフィックを盗聴し情報を開示する契約を結ばせたうえで,56ビットを超える強力な暗号製品の輸出を認めるというもの。現状,56ビットを超える暗号製品は,ユーザーが利用する暗号鍵を再現できる「キー・リカバリ・システム」(KRS)を合わせて提供すれば,輸出できる。しかし,ネットワーク機器ベンダーの多くは,米国政府による盗聴を可能にしてしまうとしてKRSに反発。代替案としてオペレータ・アクションが提案された。