KDDIは, 米クアルコムが開発したアプリケーション実行環境「BREW」を搭載した携帯電話を2月下旬に発売する。BREWはJavaと同じく,携帯電話端末でアプリケーション・プログラムを実行する環境。だがBREWの方が,Javaよりもアプリケーション起動時間が短かったり,端末が備える機能のうちより多くをアプリケーションから操作できたりする点で優れている。

 2月下旬に発売予定の「A5304T」は,GPS機能を使った地図のアプリケーションなど,3本のBREWアプリケーションがプリ・インストールされている。ゲームやメッセンジャーなどのBREWアプリケーションも,ダウンロード課金または月額課金などの形態でKDDIが配布する。

 BREWアプリケーションを開発するには,コンテンツ・プロバイダはKDDIと契約を結んだうえでKDDIのサーバーから配布する。Javaアプリケーションは,料金の徴収をKDDIに委託する場合などを除き,KDDIとの契約は不要。だがBREWでは,KDDIとの契約無しにはアプリケーションを配布できない。これは,Javaと異なり,BREWアプリケーションでは,携帯電話機のメモリーやアドレス帳,スケジューラなどのデータ操作などが可能なため,KDDIの関知しないアプリケーションの流通を防ぐ目的である。

 さらに,KDDI自身でも,企業のニーズにあわせたBREW用業務アプリケーションを開発して提供するサービスを2003年春から開始する(料金等の詳細は未定)。このアプリケーションは,IBMと共同開発した,BREWを企業の業務システムと連携できるようにするミドルウエア「BREW Business Profile」(BBP)を利用する。BBPは,企業に設置したIBMの「WebSphere Everyplace Access」(WEA)を介して,グループウエアLotus Dominoやデータベース・サーバーなどと連携可能。BBP自身が持つデータベースに,前もって業務システムからデータを取得して蓄積したり,BREWアプリケーションからBBPへ入力したデータをまとめて業務システムに送ったりする機能など,業務システムとの連携機能を持つ。業務システム側からBREWアプリケーションを起動することも可能だ。

 またKDDIは,同じくBREWを採用する携帯電話事業者である韓国のKTFおよび中国のCHINA UNICOM,BREW開発元の米クアルコムとともに「BREW Operator Working Group(仮称)」を発足。各携帯電話事業者BREW仕様の独自部分を確認したり,仕様を共通化して端末やアプリケーション開発のコスト削減を目指したりして,アプリケーションの相互流通をはかる。(Y.Y.)