NECは10月15日,外出先から携帯電話やPC,PDA(携帯情報端末)を使って,自宅のPCやインターネット家電にアクセスできるリモート・アクセス・サービスを開始する。例えば外出先からPC上のデータを取り出す,ネットワーク対応ビデオに録画予約を設定するといった操作を,インターネット経由で実現できる。サービス名は「BroadPass」。同社のISPであるBIGLOBEの個人会員向けに提供する。

 通常,個人ユーザーが利用しているインターネット接続サービスでは,IPアドレスが動的に割り当てられる。このため,外出先からは自宅のPCのIPアドレスがわからない。サーバー公開用の機能を備えたブロードバンド・ルーターや,ダイナミックDNS(ドメイン名システム)などの仕組みがなければ,外出先からのアクセスは困難である。

 NECが提供予定のBroadPassは,ユーザー側にはこうした特別な仕組みは必要ない。外出先からアクセスしたいPC上で専用ソフト「BroadPassマネージャー」を稼働させ,常時接続しておけばよい。もちろん,PCなどの電源は切らないことが前提である。

 BroadPassの仕組みはこうだ。まず,BroadPassマネージャーが,ユーザーID(BIGLOBEの会員ID)などを,BIGLOBE上で運用されるサーバー(以下,BroadPassサーバーとする)に送信する。BroadPassサーバーは,送られてきたデータ・パケットから,送信元のIPアドレスを読み取り,ユーザーIDと対応付けて管理する。BroadPassマネージャーは,5分おきにIDを送信するようになっているため,IPアドレスが動的に変化しても,常に自宅のPCのIPアドレスが更新される。また,BrodaPassマネージャーは,IDと一緒にポート番号も送信するようになっている。このため,NAPT(ネットワーク・アドレス/ポート変換)機能を使って,自宅の複数のPCで1つのインターネット回線(グローバル・アドレス)を共有している場合でも,ProadPassを利用できる。

 外出先からは,ユーザーは,まずBroadPassサーバーに接続(ログイン)する。以後,BroadPassサーバーは,ユーザーIDに対応付けられたIPアドレスへの通信を中継する。BroadPassサーバーにログインしていないユーザーには,自宅のPCのIPアドレスはわからないため,第三者によるなりすましを防げる。自宅のPCに,BroadPassサーバー以外からのアクセスを拒絶するように設定しておけば,そのほかの不正アクセスも防げる。また,外出先のユーザーとBroadPassサーバーの間,BroadPassサーバーとリモート・アクセス先の間の通信にはSSL(セキュア・ソケット・レイヤー)を利用するため,通信経路上での盗聴も防げる。

 BroadPassのサービス料金は,リモート・アクセスの対象となるマシン1台ごとに月額300円。1ユーザーにつき最大4台までのPCを登録できる。BroadPassマネージャーの動作環境は,Windows2000/XPである。(Y.Y.)