米マイクロソフトは9月19日,IEEE(米国電気電子技術者協会)802.11b準拠の無線LAN製品群「Broadband Networking」を発表した。無線LANのアクセス・ポイント「Wireless Base Station(MN-500)」,無線LANカード「Wireless Notebook Adapter(MN-520)」,USB接続の無線LANアダプタ「Wireless Notebook Adapter(MN-510)」などをパッケージ化した製品である。ハードウエアには,米インターシルの無線LAN用チップセットを採用。特徴は,セットアップを容易にする「Seup Wizard」が同こんされる点と,無線通信で標準的に暗号化機能を使うように設定される点が特徴である。

 Setup Wizardは,アクセス・ポイントのMN-500に同こんされる。クライアントPCにインストールすると,ウィザードがISPやモデムの設定を取得して,MN-500とパソコンの両方の設定を自動的に実行する。また,セットアップの作業やパラメータなどの設定内容を,「Network Set-up Disk」としてフロッピ・ディスクにコピーするようになっている。パソコンやアクセス・ポイントを追加する場合や,再設定する場合に,セットアップ・ディスクから情報を引き出すことで,設定作業を迅速に進められる。

 一方,セキュリティ面では,アクセス・ポイントのデフォルト設定を,無線部分の通信を暗号化するようにした。具体的には,WEP(有線同等プライバシ)の設定である。802.11準拠した無線LAN製品には,無線通信を共通カギで暗号化するWEPと呼ばれる機能が搭載されている。第3者に無線通信を傍受され,内容を解読されるのを防ぐためである。ところが,ほとんどの製品は,向上出荷時の標準設定ではWEPは使わない設定になっている。このため,多くのユーザーがWEPを設定しないまま無線LANを利用しているのが実情である。そこで,マイクロソフトは,WEP利用をデフォルト設定にした。さらに,WEPの暗号化に使う暗号カギの長さも,解読が容易とされる40ビットではなく,128ビットに設定してある。

 MN-500はこのほか,NAT(ネットワーク・アドレス変換)機能やPingのフィルタリング機能なども搭載する。UPnP(ユニバーサル・プラグ・アンド・プレイ)にも対応する。米国での価格は,MN-500が149ドル95セント。PCMCIAカードの「Wireless Notebook Adapter(MN-520)」が79ドル95セントである。ほかにUSBで接続する無線LANアダプタ「Wireless Notebook Adapter(MN-510)」などがある。米国では,2002年中にも発売する予定。ただし,日本での発売についてはまだ決まっていない。(T.F.)