韓国の大手アンチウイルス・ソフト・ベンダーであるアンラボは,新たなウイルスが発見された際の,迅速な対処を可能にするサービス「VBS」(Virus Blocking Service)を2002年中にも開始する。メールを大量に一斉配布してしまうタイプのウイルスを想定したサービスで,新種のウイルスに対応したパターン・ファイルが用意されるまでの間に感染してしまう危険を少なくできる。ただし,料金は未定である。

 アンチウイルス・ソフトでウイルスを検知・駆除するには,そのウイルスに対応したパターン・ファイルが必要になる。ただ,発見されたばかりの新しいウイルスについてはパターン・ファイルがまだ存在しないため,検知できない。一般に,ベンダーからパターン・ファイルが配布されるまでには,発見から数時間以上かかる。このため,パターンを更新するまでの間は感染の危険にさらされることになる。このパターンが配布されるまでの間の感染防止に有効なのがVBSである。

 VBSの概要はこうだ。まず,サービス利用に先立って,ユーザーはアンラボが提供する専用のメール・フィルタリング・ゲートウエイを導入する必要がある。メールのタイトルや添付ファイルの名前/サイズをもとに,メールの送受信を制限する装置だ。アンラボは,新たなウイルスが発見された場合に,新ウイルスに関するメール・フィルタリングのルールを作成する。ゲートウエイがこのフィルタリング・ルールを自動的にダウンロードし,新ウイルスが添付されていると疑われるメールの送受信を禁止する。メール・フィルタリングのルールなら,パターン・ファイルと違って15分程度で作成,配布できるという。このため,パターン・ファイルが配布される前にウイルスに感染してしまう確率を下げられる。

 このサービスは,アンラボのメール・フィルタリング・ゲートウエイを導入すれば利用できる。アンチウイルス・ソフトとは独立しているため,他社のアンチウイルス・ソフトのユーザーでもでも利用できる。同様のサービスは,トレンドマイクロが2002年10月から提供予定。ただ,トレンドマイクロは,同社のメール・ゲートウエイ型アンチウイルス・ソフトのユーザーだけを対象とする。(K.A.)