JENSは9月2日,新しいウイルス・チェック代行サービスを開始した。HTTP(ハイパーテキスト転送プロトコル)とFTP(ファイル転送プロトコル),SMTP(シンプル・メール転送プロトコル)のトラフィックを対象とした「JENSセキュアゲートウェイサービス」である。ウイルス・チェック代行サービスは,多くのISPが提供しているが,どれも対象は電子メールだけ。HTTP,FTPまで対象としたサービスはまだ珍しい。

 厳密には,セキュアゲートウェイサービスは,ファイアウォールのレンタル/管理代行サービス。その付加価値サービスとして,ウイルス・チェック代行機能を提供する。特徴は,ユーザーのサイトに設置したファイアウォールと,JENSのセンターにあるアンチウイルス・ゲートウエイ(トレンドマイクロ製)が協調動作する点。従来のウイルス・チェック・サービスは,基本的にメールだけが対象で,ISP側のメール・サーバーでいったんメールを受信し,その際にウイルス・チェックを実施していた。これに対して,JENSセキュアゲートウェイサービスは,ファイアウォールがトラフィックをフィルタリングする際に,JENS側のアンチウイルス・ゲートウエイにデータを転送し,チェックする。このため,プロトコル/アプリケーションに依存しないうえ,ほかのISPのユーザーでもセキュアゲートウェイサービスだけを単独で導入できる。

 電子メールを例に考えてみよう。ファイアウォールが社外からのSMTPトラフィックを社内のメール・サーバーに中継する場合,ファイアウォールが,トレンドマイクロが開発したCSP(コンテンツ・スキャニング・プロトコル)を使って,メール・データをすべてJENSセンター内のアンチウイルス・ゲートウエイに転送,ウイルスの有無をチェックする。HTTP,FTPに関しても同様に動作する。また,社内から社外へのトラフィックについても,同様にウイルス・チェックを実行する。

 JENSからレンタルされるファイアウォールは,CSPを実装した製品の1つ,米ルーセント・テクノロジーズの「Brick」である。ユーザーは,ファイアウォールのフィルタリング・ルールを設定する際に,ルールの1つとして,どのトラフィックに対してアンチウイルスを実行するかを指定できる。サービスの料金は,標準サービス(ファイアウォールのレンタルと管理代行のみ)とウイルススキャンサービス(オプション)の両方がかかる。標準サービスの料金は,初期費用が20万円。月額料金はレンタルされるファイアウォールの機種により異なり,月額3万~65万円。ウイルススキャンサービスは,利用端末数(IPアドレス数)により,月額1万~10万円。(Y.K.)