トレンドマイクロは6月26日,コード・レッドやニムダのように感染速度が非常に速いウイルスに対処するための戦略「トレンドマイクロ エンタープライズ プロテクション ストラテジー」(TM EPS)を発表した。最近,感染速度が速いため,アンチウイルス・ベンダーがパターン・ウイルスを用意する前に感染が広がってしまうウイルスが増えている。今回の「TM EPS」では,こうしたウイルスに素早く対処するための製品/サービスを提供する。TM EPSに対応した管理ソフトと,メール・ゲートウエイ型アンチウイルス・ソフトを2002年10月に出荷。ほかのアンチウイスル・ソフトも順次TM EPSに対応させていく。

 TM EPSは,ニムダのようなウイルスが発生した直後で,パターン・ファイルがまだ用意されていない時点で,まずメール配信やWebアクセス,Windowsのファイル共有といったウイルスの感染経路を閉じるという緊急対策を採るための仕組みを提供する。どの経路を閉じるといった緊急対策のリストを,トレンドマイクロがウイルスの特徴にあわせて作成し,ユーザーに配信する。ユーザーは業務への影響を勘案したうえで,対策が可能と判断すれば,それを自動的に適用できる。緊急対策をカスタマイズすることもできる。緊急対策リストが用意できたことをユーザーに通知する手段には,メールなどを使う。

 2002年10月に,緊急対策リストを受信してその実行を指示するソフト「Control Manager」と,指示された緊急対策を実行するメール・ゲートウエイ型アンチウイルス・ソフトの新版「InterScan Messaging Security Suite」を出荷する。InterScan Messaging Security Suiteでは,以下のような緊急対策を実行できる。まず,メールを再配布するタイプのウイルスが発生した場合に,添付ファイルのやり取りを禁止できる。メールの件名,添付ファイルの名前やサイズなどが特定できるウイルスなら,それを条件としてメールをフィルタリングする。2002年内には,ExchangeとNotesというグループウエア向けアンチウイルス・ソフトでもTM EPSに対応させる。そのほか,HTTP/FTPプロキシ型やサーバー型,クライアント型のアンチウイルス・ソフトもTM EPS対応版を2002年内に出荷する。

 TM EPSでは,他社のファイアウォールやルーター,リモート・アクセス・サーバーなども制御できるようにする計画。ファイアウォールに対して外部へのWebアクセス禁止を指示したり,ルーターに対して社内のWebサイトやファイル・サーバーへのアクセス禁止を指示したりできるようにする。

 感染したウイルスを効率的に駆除する機能も用意する。ウイルスごとに作成される駆除ツールを,自動的に配布して実行する機能である。メモリー常駐型ウイルスなど,アンチウイルス・ソフトでは駆除できないウイルスが発生した場合には,アンチウイルス・ベンダーはWebサイトで専用の駆除ツールを公開してきたが,これを実行するには人手でソフトを配布するといった手間がかかっていた。これを自動化する機能をControl Managerやクライアント向けアンチウイルス・ソフトに付加する。
(K.A.)