米ユナイテッド・デバイシスは米国時間で6月24日,企業向けグリッド・コンピューティング構築ソフトの新バージョン「MetaProcessor 3.0」を発表した。新バージョンは,XML(拡張可能マークアップ言語)やSOAP(XMLデータの伝送プロトコル),WSDL(Webサービス記述言語)などを利用したWebサービスを使い,従来よりも手軽にグリッド・コンピューティングを実現可能にした。

 グリッド・コンピューティングでは,地理的に分散している多数のコンピュータを仮想的に1台のコンピュータとして扱う。ユーザーは,その仮想コンピュータからネットワークを介して計算能力や記憶領域,データなどを自在に引き出せるようになる。処理能力を高める,耐障害性を向上する--などの効果があるため,次世代インターネットの基盤技術の1つとして注目を集めている。

 MetaProcessor 3.0では,Webサービスを組み合わせ,手軽にグリッド・コンピューティングを実現できるようにした。従来は,独自のインタフェース仕様に合わせてアプリケーションを作り込む必要があったが,Webサービスの標準技術を利用することで,異なる種類のコンピュータを簡単にグリッドに参加させることが可能になった。既存アプリケーションをグリッドに対応させることも容易になる。ユナイテッド・デバイシスは,そのためのツールを含む,ソフトウエア開発キットを提供する。この開発キットは,20以上のプログラミング言語をサポートするという。グリッドに参加するコンピュータ間でやりとりするデータを保護するセキュリティ機能も搭載。ディジタル署名を付加し,168ビットのトリプルDESで暗号化するという機能である。

 Webサービスを使って柔軟にグリッド・コンピューティング環境を構築できるようにする方法は,米IBMが提唱した「OGSA(オープン・グリッド・サービス・アーキテクチャ)」と方向性を同じくする。ユナイテッド・デバイシスは,グリッド・コンピューティング技術の標準化団体であるGGF(グローバル・グリッド・フォーラム)にも支持されたOGSAベースの構築プラットフォームを提供することで,研究分野だけではなく,ビジネス分野への普及にも弾みをつけたい考えだ。(H.J.)