マイクロソフトが,映像や音楽を配信,再生するためのソフトウエア,Windows Media Technologiesの次期版「Corona」の概要を発表した。ストリーミング配信時にバッファリング時間を少なくして再生開始までの時間を短くする技術や,回線断などでいったん停止した動画を,停止した場面から再生する機能などを搭載した。また,映像,音声ともにコーデックのクオリティを向上させ,5.1chのサラウンド・オーディオ,DVDよりも6倍高品質な映像などが再生できるようになったという。あわせてソニーNTT東日本など国内数社とCoronaを使った音楽や映像のサービスで提携したことも明らかにした。

 Coronaでは,コンテンツへのリンクをクリックすると瞬時に再生が始まる。これまでは,再生を要求してから最初の部分をバッファリングするため,再生開始までにある程度の時間待たされていた。Coronaでは,Windows Media Playerが最初にWindows Media サービスと通信したときに再生開始に必要な分だけコンテンツをダウンロードするため,再生を要求したときすぐに再生を始められる。。

 再生中は,Windows Media サービスとPlayerの間で回線品質の情報をやり取りしながら,コンテンツを配信。回線やクライアントのリソースに余裕があるようなら,コンテンツを多めにバッファさせるといった仕組みを備える。回線品質が急に低下しても,映像が止まったり,画質が急に粗くなったりといったことを防ぐ。

 また,このCoronaを使ったサービスも始まる。NTT東日本はBフレッツを使い,5.1chサラウンドを使った約6Mビット/秒の高品質映像配信サービスを開始。ニフティは,エンドユーザーがCoronaを使って映像や音楽を配信する「@streaming」を6月3日に開始した。配信用サーバーのASPサービスで,月額3000円で利用できる。また,ソニーはマイクロソフトとe-ラーニング・ソフトウエアを共同で開発し,今年の秋以降,VAIOなどのPCに組み込んで出荷する予定である。OSやソフトウエアの設定を,あらかじめ組み込んであるe-ラーニング・ソフトを使う。7月1日にエイベックスが音楽の配信サービスを開始。松下電器産業はDVDプレーヤやセットトップ・ボックスなどの全製品にCoronaを組み込む。

 Coronaを構成するソフトウエアとして,Windows Media サービスとWindows Media Playerのほかに,Windows Media Codec,Windows Media エンコーダ,Windows Media Services SDKがある。このうち,Windows Media サービスはすでにベータ版で配布している。製品出荷は,2002年夏以降になる予定である。(T.F.)