日本BEAシステムズは,J2EE(Java2プラットフォーム,エンタープライズ版)対応アプリケーション・サーバーの新バージョン「BEA WebLogic Server7.0J」を5月31日に出荷する。新バージョンの特徴は3つ。(1)Webサービス・システムの構築機能を強化,(2)Javaプログラムの処理性能を向上,(3)J2EE1.3に準拠--である。

 Webサービス・システムの構築を支援するため,WebLogic Server7.0Jは新たなアプリケーション開発環境「WebLogic Workshop」を標準搭載する。WebLogic Workshopは,既存のEJB(エンタープライズJavaBeans)などを組み合わせ,ビジネス・コンポーネントを開発するツール。ビジネス・コンポーネントとは,アプリケーションなどが搭載するビジネス上の機能を外部システムから利用しやすくするために構築したプログラムである。

 WebLogic Workshopで構築したビジネス・コンポーネントは,簡単な操作でWebサービス化できる。その際,Webサービスの入出力インタフェースとなるXML(拡張可能マークアップ言語)データと,ビジネス・コンポーネントの入出力インタフェースとの対応関係を,GUIベースでカスタマイズすることも可能である。また,WebサービスのディレクトリであるUDDI(汎用的な記述/発見/統合)レジストリを検索したり,構築したWebサービスをUDDIレジストリに登録したりする機能も備える。

 Javaプログラムの処理性能を向上させるため,高速なJVM(Java仮想マシン)「JRockit」を搭載した。もともとJRockitは,スウェーデンのアピール・バーチャル・マシーンズが開発していたが,米BEAシステムズが2月に開催した「BEA eWorld 2002」カンファレンスで同社の買収を発表していた。JRockitの特徴は,マルチプロセッサ環境での分散ガベージ・コレクション機能をサポートしている,起動が高速--など。従来のWebLogic Serverが搭載していたJVMは,Sun Solarisに合わせて最適化していた。新バージョンが搭載するJRockitは,稼働プロセッサやOSごとに最適化してある。そのため,インテル・プロセッサのWindows2000で稼働させた場合でも処理性能が向上する。

 WebLogic Server7.0Jは,J2EE1.3に準拠する。具体的には,JSP(JavaServer Pages)1.2,サーブレット2.3,EJB(エンタープライズJavaBeans)2.0,JDBC(Javaデータベース接続)2.0などに対応した。外部システムとの連携仕様を規定したJCA(Javaコネクタ・アーキテクチャ)1.0もサポートする。現行バージョンである「WebLogic Server6.1J」でも,J2EE1.3のドラフト仕様に基づき一部の機能を盛り込んでいたが,新バージョンでは正式版に準拠した。

 製品価格は,1プロセッサあたり198万円。(H.J.)