米IBMは,アルファ・ワークスで提供中のWebサービス開発ツールの新バージョン「Web Service Toolkit(WSTK)3.0」で,Apache AXISを採用した。Apache AXISは,フリーのWebサーバーであるApacheの開発者コミュニティがApache SOAP3.0として開発しているSOAP(簡易オブジェクト・アクセス・プロトコル)処理系。現在はアルファ・バージョンとして公開されている。従来のApache SOAPは,米IBMの「SOAP for JAVA(SOAP4J)」をベースに開発していたが,Apache AXISは新たに開発し直した。

 Apache AXISは,Java技術の標準化団体「JCP(Javaコミュニティ・プロセス)」が標準化を進めているJAX-RPC(遠隔手続き呼び出しを実現するXML用Java API)の仕様に従ってAPIを実装している点に特徴がある。WSDL(Webサービス記述言語)からクライアント向けのスケルトン/スタブを自動生成できる,XMLデータを単純にSOAPで伝送する場合とSOAPを使ってRPCを実現する場合の両方でファイルを添付できるなど,従来のApache SOAPから大幅に機能が強化されている。

 なおWSTK3.0は,Apache AXISの採用以外にも,次のような点を強化している。(1)計測,アカウンティング,契約,通知など汎用的なWebサービスの実装を含めた,(2)WSDLファイルに記述したWebサービスの処理手続きを読みとり,人間にもわかりやすく表現するツールを含めた,(3)Webサービスのディレクトリ・サービスであるUDDI(汎用的な記述/発見/統合)レジストリをバージョン2.0に対応させた,(4)特定のサーバー内に存在するWebサービスを探索/発見するためのXMLドキュメントを記述する仕様「WS-Inspection」に対応した--などである。(H.J.)