2001年11月末から12月初頭にかけて,IPv6に対応した製品やサービスが相次ぎ登場した。例えば,日本ヒューレット・パッカード(日本HP)はUNIXの「hp-ux」とネットワーク管理ソフトの「hp OpenView」でのIPv6対応を正式に表明した。ルーター・ベンダーのジュニパーネットワークスは,同社の「Mシリーズ」でIPv6を正式にサポート。米シスコ・システムズもルーター・ソフト「Cisco IOS」でのIPv6対応機能を拡張した。

 日本HPは,12月3日,hp-ux11iとOpenViewでのIPv6対応を正式に発表した。hp-ux11iについては,すでに2001年8月からIPv6の一部機能を実装したバージョンを提供していたが,今回,今後のロードマップも明らかにした。すでに実装済みなのは,IPv6プロトコル・スタックとIPv6用のソケット・インタフェース,DNS(ドメイン名システム)サーバーのBIND9,メール・サーバーなどの各種アプリケーションである。2002年には,VPN(仮想プライベート・ネットワーク)用のIPSecの実装や,HP製ミドルウエアでのIPv6対応を進める。一方のOpenViewは,「ネットワーク・ノード・マネージャ」(nnm)と呼ぶネットワーク管理モジュールをIPv6に対応させる。すでに開発とテストを進めており,2002年秋にはIPv6対応製品を正式に発売する。

 ジュニパーネットワークスは,ルーター・ソフトと内蔵するASIC(特定用途向けLSI)をIPv6に対応させた。このASICは,IPパケットのフィルタリングとフォワーディングをハードウエア処理するためのチップ。IPv4とIPv6のどちらのパケットも,ハードウエア処理で高速にフォワーディングできる。LANスイッチやバックボーン用のルーターなど大量のトラフィックが集中しやすい機器は,ハードウエア処理が欠かせない。しかし,ルーターやLANスイッチでは,ソフトでの対応は徐々に始まっているものの,ASICでサポートしている例はまだほとんどなかった。ジュニパーはこのほか,IPv6用のルーティング・プロトコルやIPv6 over MPLS(MPLSはマルチプロトコル・ラベル・スイッチング)などの機能も実装した。ルーター・ベンダーでは,シスコもIPv6対応機能を拡張した。同社はすでに2001年5月にCisco IOSのIPv6対応を発表済みだが,今回,IPv6 over MPLSなどフェーズ?の機能を実装したことを明らかにした。

 このほか,通信事業者のアジア・グローバル・クロッシング・ジャパンは,国内でIPv6のテスト接続を開始した。トンネリング(IPv6 over IPv4)により,ISP向けにインターネットへの中継機能を提供する「IPトランジット」と,多国籍企業向けの「インターネット専用接続」でIPv6接続環境を提供する。また,アクセス回線事業者のアッカ・ネットワークスは,NTTコミュニケーションズと共同で,ADSL(非対称ディジタル加入者線)でのIPv6接続サービスを提供すると発表した。サービス開始は2002年第1四半期の見込み。(Y.K.)