ビットワレットは11月7日,プリペイド式の電子決済サービス「Edy」の本サービスを開始したと発表した。Edyは,ICチップを埋め込んだ「Edyカード」を電子財布として使用する決済サービス。ユーザーは,あらかじめEdyカードに“入金”した金額の範囲内(上限は5万円)で,EdyカードをWebサイトや実際の店舗などの決済に使用できるようになる。カード内の残高が減っても,専用の入金装置やインターネット経由のネットデビットなどを使い,何度でも“入金”して再利用できる。

 現実の店舗でEdyカードを使用する場合は,レジ脇などに設置された専用装置にカードをかざすだけで決済できる。決済時に小銭などをやり取りする必要がなくなるため,東京・大崎で実施した実証実験では,精算時間を25%程度も短縮できたという。

 Webサイトの決済に使用する場合は,ユーザー側にEdyカードの読み書き装置が必要になる。装置はUSBケーブルを使ってPCに接続するタイプで,ソニーが数千円程度で販売する予定である。決済時には,ユーザーとWebサイト間,Webサイトと決済サイト間を,それぞれSSL(セキュア・ソケット・レイヤー)で暗号化する。さらに,エンド・エンドのセキュリティを確保するため,ユーザーから決済サイトに送付するデータを,トリプルDES(データ暗号化標準)で暗号化する。このときやり取りするデータは,(1)EdyカードのID,(2)決済金額,(3)残高,(4)決済したWebサイト名--である。ユーザー個人を特定する情報はいっさい含まれていないので,本人認証などの仕組みは不要になっている。ビットワレットは,電子コンテンツの購入など,少額決済で普及させたい考えだ。

 加盟店や加盟Webサイトには,手数料がかかる。ビットワレットは,デビット・カードと同等の2~3%程度の手数料を設定する計画。クレジット・カードよりは低い手数料にする。

 使用可能な環境も,徐々に整い始めている。コンビニエンス・ストア大手のエーエム・ピーエム・ジャパンが2002年夏までにam/pm全店でEdyカードを使った支払いに対応する。パーク24が運営する時間貸し駐車場「タイムズ」も,品川/大崎地区を中心に順次対応する計画。Webサイトでは,ソニーコミュニケーションネットワークが運営するECモール「So-net e-mart」や,ECサイト「ソニースタイルドットコム」が,すでにEdyカードに対応している。トヨタが運営する情報提供サイト「Gazoo」も,2002年2月に対応する予定である。(H.J.)