京都大学慶應義塾大学東京工業大学東京大学早稲田大学の5大学とオムロンは9月4日,PtoP(ピア・ツー・ピア)技術を使ったアプリケーションを研究・開発する産学協同プロジェクト「SOBA(セッション・オリエンティッド・ブロードバンド・アプリケーション)」を発足したと発表した。インターネット上に仮想的な共有空間を構築し,この仮想空間をPtoP技術を使って利用できるようにする。

 SOBAは,京都大学 数理解析研究所の中島 玲ニ教授の研究グループを中心に構成された。SOBAが研究・開発するソフトウエア「SOBAフレームワーク」を使用すると,ユーザーはインターネット上に「コミュニケーションの場」として利用できる仮想的な共有空間を作成し,そこで画像ファイルや音声ファイルなどを共有できるようになる。作成した共有空間は,動的に分割したり結合したりすることも可能だ。セキュリティ機能,課金機能,著作権保護機能なども盛り込む。SOBAフレームワークに基づいたアプリケーションはJavaを使って開発する。

 SOBAフレームワークが想定するのは,例えば次のような利用方法。企業内のプロジェクト・チームごとに共有空間を作成し,その共有空間上でプロジェクトの進捗状況や資料などを管理する。いくつかのプロジェクト・チームを統合しなければならなくなった場合には,共有空間を動的に1つにまとめる。プロジェクト・チーム内で,サブプロジェクトを立ち上げるときには,さらに共有空間を作成し,サブプロジェクトのメンバーで共有空間を利用する--。

 SOBAは2002年4月以降にベンチャ企業を設立し,SOBAフレームワークの製品化と事業化を図る計画。このベンチャ企業では,小額株主制度や研究/開発者の公募制度などを導入した市民参加型の事業を推進する予定である。非商用版をオープン・ソースにする。2002年3月にアルファ版,同10月にはベータ版,同12月の製品化を目指している。(H.J.)