PtoP(ピア・ツー・ピア)ソフトの基本機能の共通化を狙ったオープン・ソース・プロジェクト「JXTA」(ジャクスタ)の機能拡張が本格化してきた。とくに,現行のJXTA1.0に不足しているセキュリティやディレクトリに関連する機能強化が進んでいる。JXTA1.0は,米サン・マイクロシステムズが2001年4月に発表した。

 「セキュリティ関連の強化ポイントは2つある」(米サン・マイクロシステムズ ピア・ツー・ピア・ネットワーキング ディレクタ・オブ・エンジニアリングのリー・ゴング氏)。同氏は,JXTAプロジェクトの技術リーダーを務めている。

 1つは,JXTAの基本機能である「コア」に対するセキュリティの強化である。JXTAベースのプログラムでデータを暗号化するためのライブラリを追加し,JXTAマシン(ピア)間の相互認証と暗号通信を実現するためのセキュリティ・プロトコルを規定する。セキュリティ・プロトコルは,SSL(セキュア・ソケット・レイヤー)をベースにする予定。

 もう1つは,JXTAベースのサービス間で相互認証するときのメッセージ・フォーマットを規定すること。パスワードやディジタル証明書などのセキュリティ情報を,XMLメッセージのなかでどう保持するかを定める。セキュリティを確保しながら,JXTAサービス間の相互接続性を高める狙いがある。

 また,PtoP型で実装したディレクトリ・サービス間で,ディレクトリ情報をやり取りするための規格の開発が進んでいる。これと並行して,複数のディレクトリにアクセスして,好みのサービスを見つけるGUIベースのクライアント・ソフトの開発も進行中である。

 暗号化ライブラリの開発など,テーマごとに設けられたプロジェクト・グループは,当初の数個から約30個に増えている。JXTAプロジェクトに参画するベンダーの数も24社から35社に増加。開発のペースを上げることで,業界標準の確保を狙う。(K.A.)